大学生が一定期間、企業で職場体験をするインターンシップ。これまでは、数日から長期で実務を経験するインターンシップが大半だったが、2017年4月から、2019年卒の学生の就職活動について「5日間以上」とされていたインターンシップの日数規定が廃止され、1日から可能となった。このため、急増したのが「1dayインターンシップ」だ。

 LINE Research Platformと博報堂の共同研究プロジェクト『若者インサイトラボ』が全国の現大学3年生(2478人)を対象に2017年7~9月のインターンシップ参加状況についてアンケートを実施したところ、1dayインターンシップが圧倒的に多いことが分かった。

 1dayインターンシップはまだ試行錯誤の途中なのか、その内容はさまざま。会社説明会と同じようなところもあれば、「社会に出たときのマナー講座」(食品・飲料メーカー)、「スーツのたたみ方、面接で一歩上を行けるスーツの着こなし方」(卸売り・小売り)なども。1dayでも「納期や見た目、強度などを考慮したサイコロを実際に製作した」(IT・通信・ソフトウエア)などのグループワークや面接、なかにはインターンシップ後に採用試験を実施している企業もあったという。「インターンシップ中に気づいたことについて、個人ごとのフィードバックがもらえた」(IT・通信・ソフトウエア)といったように、1dayでもアフターフォローをしっかりしている企業が多い。

 1dayだから気軽に参加している学生が多いかと思いきや、学生がインターンシップに参加した企業と志望業界はほぼ一致。「学生はある程度、やりたい仕事や興味のある業界、就職したい企業が明確になっている。インターンシップをその業界や企業との相性を測る場として捉えている。本番の就職活動においてもエントリーする企業は、自分の興味のある業界に絞っており、やりたい仕事ができることを重視しているようだ」(『若者インサイトラボ』)。

無償か有償かは学生のモチベーションに関係ない?

 学生の満足度が総じて高いのも、1dayインターシップの意外なポイント。それが会社説明会+αの内容でも、ほとんどの学生がインターンシップを経験した企業について好印象を持っている。アンケートでも「企業のイメージが変わった」、「業界について深く理解できた」、「就活に対するモチベーションが上がった」といったような前向きな回答が多く、とくにBtoBの企業は、普段、学生が身近に接する機会が少ないだけに、新たな発見をしたという回答が多かったという。

 最後に興味深いところでは、「インターンシップの報酬があるかどうかは就職志望度の上下に大きな違いが見られなかったこと」(同)。つまり、無償か有償かは学生のモチベーションに関係ないと推測されるわけだ。

 インターンシップは早期に相思相愛の学生を見極められるだけでなく、企業PRの場としても有効。企業にとっては1dayインターンシップでいかに学生を引き付けるかが勝負になっているようだ。

(文/永浜敬子)

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