2015年に大ヒットした連続ドラマ『下町ロケット』(TBS系)で注目を浴びて以来、八面六臂の活躍を続ける俳優、山崎育三郎。今年は舞台に加え、3本の連ドラに出演、カバーアルバム『1936~your songs~』が第58回日本レコード大賞の企画賞に輝くなど多方面で話題を集めた。女優・高畑充希とともに日経トレンディ“今年のヒット人”にも選出された(関連記事:【速報】2016年の顔は「高畑充希」「山崎育三郎」)。

 「記憶がないほど多忙で充実した1年」と自らが語る2016年の締めくくりは、山崎の“出身地”であるミュージカルの『プリシラ』だ。オーストラリア映画を基に世界各国で舞台化され、トニー賞やオリヴィエ賞を受賞したこともある名作で、日本では初演。山崎は主役の“新米”ドラァグクイーン、ティックを演じる。ミュージカル界のプリンスとして『レ・ミゼラブル』『モーツァルト!』など、名だたる作品に出演してきた山崎にとっても新たな挑戦だという。同作への思いから、怒とうのこの1年を振り返って感じたことまで、たっぷりと聞いた。

山崎育三郎(やまざき いくさぶろう)
1986年1月18日生まれ、東京都出身。確かな歌唱力や表現力で「ミュージカル界のプリンス」と呼ばれ活躍。2015年10月期のドラマ『下町ロケット』では研究員役が話題になってブレーク。2016年は『お義父さんと呼ばせて』『悪党たちは千里を走る』『グッドパートナー 無敵の弁護士』と立て続けにドラマに出演。夏には自叙伝『シラナイヨ』を出版。カバーアルバム『1936~your songs~』は第58回「日本レコード大賞」企画賞を受賞。12月8日からは日本初上演となるミュージカル『プリシラ』に出演。2017年1月15日には「山崎育三郎コンサート ~1936 your song~」、バースデーイベント「山崎育三郎 Birthday Premium Live 2017 ~ちょっと早いけど、いっくん祝っときますか?~」も開催予定
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――とても忙しい1年だったと思いますが、締めくくりはミュージカル『プリシラ』ですね。主演をやってみないかとオファーを受けたときは、どう思われましたか?

山崎育三郎(以下、山崎): 『レ・ミゼラブル』や『ミス・サイゴン』、今年10月まで出演していた『エリザベート』などさまざまなミュージカル作品に出させていただき、ミュージカル界ではプリンスと呼んでいただけるようにもなりました。『下町ロケット』を契機に映像作品にもチャレンジさせてもらっています。今回の『プリシラ』ではドラァグクイーン役で、『エリザベート』のような作品ともテレビドラマとも全く違う。それは役者として本当に喜ばしいことだと感じました。

――演じるティックという役は、結婚経験があり子どももいる複雑な心情を抱えた役どころですね?

山崎: はい。この作品には、ドラァグクイーンとして生きる3人のゲイの珍道中を描いたものです。実に3者3様で。僕の演じるティックは、もともとは普通に結婚して子供も生まれた。幸せなはずなのに生活に違和感があって、それを妻に相談すると、「あなたの人生だから自由に生きて」と背中を押してもらったという人物です。

 オリジナルである映画のティックはあまり多くを語らず、哀愁あるキャラクター。スクリーンでは、表情を大きく映し出すからそれでも成立しますが、舞台はお客さんと一緒に前に進んでいくエネルギーやテンポ感も必要になります。しかも華やかな音楽もたくさん入ってくるなかで、ティック像を作り上げるのはなかなか難しい挑戦でした。初めは悩みましたが、今は演出の宮本亜門さんとともに日本で初演される新しいティックが出来上がってきたなという感覚をつかめています。衣装が22着もあって、とにかくきらびやか。着替えながら歌も踊りも……とやることが多くて体力もかなり消耗するハードな舞台ですが、見ているお客さんはすごく楽しめます。

――山崎さん自身は、ティックのように「現状を変えたい」と踏み出した経験は?

山崎: 自分のことは分からないから、これが正しいのかなと迷いながら日々過ごしているし、「自分を変えたい」という感情は誰もが持ってるものだと思うんです。僕は子供の頃からミュージカルの世界に憧れて、「東宝の4大ミュージカル『レ・ミゼラブル』『ミス サイゴン』『エリザベート』『モーツァルト!』すべてに出る!」とノートに書き留めていました。高校球児が甲子園を目指すような感じでしょうか(笑)。

 ありがたいことに、29歳で全作品に出させていただきました。日本の俳優で4作品すべてに出演したのは僕だけだと聞いてうれしかったですし、30代を迎えるにあたり俳優としての幅を広げたいと思うようになりました。そんなときにオファーをいただいたのが、『下町ロケット』で、これは運命だと感じました。4作品に出る前の段階だったら、映像作品に挑戦したいとは考えなかったと思います。