この記事は「日経デザイン」2017年12月号(2017年11月24日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 アイウエアメーカーのJINSが「メガネの本質からデザインする」をコンセプトに、「JINS DESIGN PROJECT」を始動した。世界的に活躍するデザイナーたちと共に、眼鏡の形状や素材から再構築する。第1弾に迎えられたのは、工業デザイナーのJasper Morrison(ジャスパー・モリソン)氏。「普遍的な美しさを持つデザインに定評のあるモリソン氏は、第1弾のデザイナーとして適任だった。身につけた瞬間から、何年も使っているようになじむ眼鏡をつくることができた」と、本プロジェクトを担当するJINS商品ユニットの鈴木博明ユニット長は話す。「店舗を問わず、人気上位のモデルになった。ジャスパー・モリソンの名前を知らない人も選んでいる」と同氏は手応えを感じている。

JINS DESIGN PROJECT のメーンビジュアル。このウエリントンはモリソン氏も愛用のモデル
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トレンドではなく本物の価値を

 このプロジェクトが始まった一つのきっかけは、あるユーザー調査だった。JINSの商品を「購入しない」理由を尋ねた調査で、約3割の人が「デザイン」と回答したのだという。「『良いデザイン』の一つの定義が『長きに愛される普遍的な価値』であるとしたならば、そのアプローチに長けているデザイナーとの協業が必要なのではないか」と鈴木氏は考え、トレンドではなく「消費者にとって本当に良い眼鏡」を追求することを目的とし、モリソン氏を含む数名のデザイナーに声をかけた。

発売された4種類。手前からアイコン、ボストン、スクエア、ウエリントン
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 モリソン氏が眼鏡をデザインするのは、今回が初めてだった。発表された眼鏡はいずれも、既存の眼鏡の形状を分類し「タイポロジー」を踏まえて選ばれた、ある意味では王道的な形。丹念なリサーチを重ね、0.2mm単位でリファインしていった。

 プロジェクトは今後も世界的なデザイナーを迎えて継続予定で、現在も開発が進んでいる。第2弾の発表は2018年中頃を予定している。

渋谷店には期間限定展示として、モリソン氏の東京オフィスの一部が移設された。「リサーチを重ねているうちに、壁が眼鏡の絵で埋め尽くされた」という (写真:(C) Nacasa&Partners Inc)
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