この記事は日経トレンディ2月号(2017年1月5日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

米国クールコア社が開発した高機能クーリング素材「クールコア」が日本でも話題になりそうだ。パフォーマンスの最大化には、効率的なクーリングパワーが欠かせない。その背景を探った。

伊藤忠商事が、日本市場での独占輸入・製造販売権を取得

 高機能素材への注目が高まっている最近のファッション業界。今年、日本でも話題になりそうなのが、米国クールコア社が開発した気化熱を利用して冷却する高機能素材「Coolcore(以下、クールコア)」だ。伊藤忠商事が16年1月に日本市場での独占輸入・製造販売権を取得し、今年の春夏には国内の複数のスポーツウェアブランドをはじめとした数種類のアイテムでクールコアを採用した商品が売り出される予定だ。年々深刻化する熱中症対策でも期待が高まる。

 クールコアは米国で開発され、米国特許(特許番号8440119)を取得している新しい繊維素材だ。例えば夏場にクールコアの素材で作られたウエア、あるいはタオルを身に着けて濡らす、もしくは汗をかくとその水分の気化熱によって涼しくなる。

 繊維業界では夏場になると接触冷感と冷却効果という言葉がよく使われるが、この両者は似て非なるもの。接触冷感は冷涼なイメージがあるが、その構造はセラミックなどを繊維に練り込んで熱伝導性を高めたもので、初めて触った時にはひんやりするものの、暑いところに行くと暑くなってしまうという欠点がある。それに対してクールコアは、水分を含んでいる限りは気化熱を発生して冷却効果が持続する。

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 なぜ気化熱で冷却効果を起こせるのか。その秘密は生地の構造にある。ポリエステルを中心に、異なる糸種、太さの糸を特殊な設計で編んだり織ったりすることで、毛細管現象を起こしやすくする。それによって吸い上がった水分が生地全体に拡散をして気化熱により冷却するのが原理だ(下の実験結果参照)。

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