パスタにアーモンドミルク!? 江崎グリコ(以下、グリコ)はプロントコーポレーション(東京・港区)と協業し、2017年12月1日から同社のアーモンドミルク飲料「アーモンド効果」を使ったパスタメニューをカフェ・バーのプロントで展開。パスタのソースに同社の「アーモンド効果<カロリーLight(ライト)>」を使い、具材とともに平打ちの生パスタと合わせて提供する。
グリコとプロントは過去にも数回協業しているが、パッケージ変更したポッキーをプロントで提供するなどが中心で、今回のように共同でフードメニューを開発するのは初めて。プロントコーポレーション プロント事業本部事業企画部の羽入隆之副部長は「アーモンドミルクは注目の食材。アーモンドミルクを使ったコーヒーなどはすでに出ているので、フードメニューで目新しさを出したかった」と話す。
アーモンドミルクは砕いたアーモンドに水分を加えて作られた飲料で、アーモンド特有の香ばしい風味が特徴。植物性でコレステロールを含まないことから、健康飲料として2000年ごろから欧米で支持されてきた。
グリコでは2014年4月から全国販売。今回パスタに使ったカロリーライト以外に、砂糖不使用シリーズとして「黒ごま」「エスプレッソ」、甘みを加えたオリジナルシリーズとして「オリジナル」「香ばしコーヒー」「チョコレート」と数種類のフレーバーを展開。オリジナルとカロリーライトは手軽に飲める200mlと家庭用の1000mlの2サイズをそろえている。
中高年狙いだったが美容意識の高い女性に受けた
アーモンド効果について、「健康事業に力を入れたいと考えたのがきっかけで開発した」とグリコ健康事業・新規事業マーケティング部の矢野達也ブランドマネージャーは話す。同社はこれまで菓子など子ども向けの商品に力を入れていたため、「年配の人向けの商品や健康に関する商品はあまり得意ではなかった」(矢野マネージャー)。商品開発に向けて調査を行ったところ、「健康に良いのでサプリ代わりにアーモンドを毎日食べている」という人が多くいることが分かったという。だが、大量に食べるのは難しいし、硬くて歯に挟まるという意見もあった。そこで、欧米ですでに支持を集めていたアーモンドミルクに着目したという。「当時、市場にはすでに輸入のアーモンドミルクがあったが、味や風味が薄く、日本人にはなじみにくいと思った」(矢野マネージャー)ことから、アーモンドの香ばしさやコクを意識しながら約1年かけて開発した。
発売当初は中高年にターゲットを絞り、新聞折り込み広告を出すなどしていたが、実際には美容意識が高い女性を中心に売れていることが分かった。そこで、若い世代が目にする機会が多いSNSの広告にも力を入れ始めたという。発売から約2年半後には前年比約1.5倍にまで売り上げが伸長。アーモンドミルク市場全体も、2014年から2017年の3年間で240%拡大したという(2014年4〜9月と2017年4〜9月を比較した場合)。
「豆乳のように、どこかで仕掛ける必要がある」
徐々に認知も売り上げも伸びているが、「調査したところ、認知率は4割だが購入率は1割程度だった。硬いアーモンドの実がドリンクになるのが想像しにくいという意見もあり、なかなか手を伸ばしにくいのではないかと感じた」(矢野ブランドマネージャー)。
今回のコラボパスタのように料理にアーモンド効果を使うことで味を知ってもらい、購入者を増やすきっかけを作りたいと矢野ブランドマネージャーは話す。最終的な目標は日常的に飲まれる飲料になること。ライバルとして挙げたのは豆乳だ。「豆乳の市場規模は400億円以上。豆乳を超えられるようになれればいいが、その半分くらいの規模は目指したい」(矢野ブランドマネージャー)。しかし、豆乳は発売から数十年の歴史があり、アーモンドミルクとは認知に大きな差がある。
「豆乳も過去何回かのブームがあり、売り上げがぐんと伸びた時期があって広がっていた。戦略的にいろいろ仕掛けていたのではないかと思う。アーモンドミルクもじわじわと伸ばすのではなく、客のニーズをつかみつつ、仕掛けながら市場を広げていきたい」と矢野ブランドマネージャーは意気込む。
(文/樋口可奈子)