ハイレゾ対応を進めるのは、オンキヨー&パイオニアも同じだ。17年5月に新発売したハイクラスの密閉型ヘッドホン「SE-MONITOR5」(実勢価格10万7780円・税込み)は、パイオニアの往年の名機「MONITOR 10」のモニターブランドを30年ぶりに復活させたもの。15年に発売された同社のフラッグシップモデルで、オープン型ヘッドホンの「SE-MASTER1」で培ったテクノロジーなども盛り込んだ。

ハイレゾ対応密閉型ヘッドホン「パイオニア SE-MONITOR5」実勢価格10万7780円(税込み)
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試した!
クラシックなどを聴くと、細かな音まで正確に再生されており、精緻な空間表現が感じられる。音づくりはかなり独自。最近のヘッドホンの流行とは正反対で、好みが分かれるかもしれない。大口径のドライバーを採用するだけに、このレベルのヘッドホンの実力を十分に引き出すには、据え置き型の本格的なヘッドホンアンプが必要だ。(AV評論家・折原氏)

 一方、JVCケンウッドは17年、ビクターブランドの再定義を行うとともに、ビクターブランドを掲げる独自の音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC(ウィズミュージック)90」(実勢価格90万円・税込み)と、「WiZMUSIC30」(同30万円)の提供を開始した。

 同社が開発した頭外定位技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」を製品化したサービスで、発想は面白い。通常、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くと、頭の中の狭い領域に音場を結び、スピーカーで聴くような開放感はない。一方のエクソフィールドは、ヘッドホンで聴きながら、あたかも前のスピーカーが鳴っているように聞こえる技術で、それをパッケージで商品化したのがウィズミュージックだ。

音場特性カスタムサービス「WiZMUSIC90」専用サイト限定販売価格90万円(税込み)ビクタースタジオの「Ex Room」で説明を聞いているところ
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試聴
人によって感じ方に違いがあるようだが、体験した記者の場合は高い効果を感じた。耳内音響マイクで個人特性を測定後、サービスで提供されるヘッドホンを着け、測定した個人データを反映したアプリで音楽を再生すると、まるで前方のスピーカーが鳴っているかのようだ。価格がもっと手頃なら面白いサービスだろう。(編集部)

 ブランド復活の動きは自動車業界にもある。本田技研工業は、前モデル(9代目)のシビックの国内販売は一部を除いて見合わせていたが、最新の10代目のモデルは改めて国内投入し、再挑戦している。

 新型シビックは、初代シビック以来の、人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小にという「M・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」を受け継ぎながら、最新のダウンサイジングターボの考えの下、「ガソリンエンジンながら低燃費で力強い走り」(本田技研工業)のクルマになっているという。

シビック タイプR 車両価格450万360円(税込み)
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 これら老舗ブランドは、その企業や製品が過去から受け継いだ、いわばDNAだ。その上に、現代の技術やサービスを取り入れて、どう仕上げたかがポイントだろう。復活・活性化した老舗ブランドが、消費者の評価を受けるのはこれからだ。

(文/日経トレンディ編集部)

※日経トレンディ2017年10月号の記事を再構成