オーディオの世界は、2000年前後からパソコンや携帯オーディオプレーヤーが普及し、音質をあまり重視しないMP3やAACなどで圧縮された音楽が一般化した。これに対し、12、13年頃からハイレゾに光が当たり、ハイレゾ配信や対応イヤホン、ヘッドホンなどの新しいマーケットが誕生。機器の可能性も格段に広がってきた。

 17年、パナソニックはテクニクスのミッドレンジであるグランドクラスに、アナログレコードを再生するターンテーブル、インテグレーテッドアンプ、トールボーイスピーカーを追加した。

 特にダイレクトドライブ方式ターンテーブル「SL-1200GR」(実勢価格15万9840円・税込み)は、コストダウンにより、先行モデルの半分に価格を抑えた製品で、オーディオファンが注目する。SLシリーズは、テクニクスブランドの原点ともいえる製品で、70年代の発売から世界で350万台を売ったロングセラーだった。

ダイレクトドライブターンテーブル「SL-1200GR」実勢価格15万9840円(税込み)
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試聴
アナログレコードの音質を大きく左右するターンテーブル。「SL-1200GR」を今春発売のアンプとスピーカーとの組み合わせで聴いてみると、アナログレコードに刻まれている音楽を正確にトレースした。家庭で使うには十分過ぎる性能だ。カートリッジを用意する必要があるが、組み立ても難しくはない。ただ、安くなったといってもテクニクス製品が販売を終了した時点でSLシリーズが7万~8万円だったことを考えると、普及モデルの投入が待たれる。(編集部)

 また、ここ数年続いているアナログレコードブームを背景に、新しい分野に進出する動きもある。アナログレコードへの回帰は世界的な現象で、国内でも5~6年前を境に、ディスクの生産量がV字回復してきた。

 そんななか、現在も世界のダイヤモンドレコード針の9割を供給するナガオカは今年、「VINON(美音)」シリーズと名付けた比較的買いやすい価格のハイレゾ対応イヤホンなど2モデルを発売し、ハイレゾ市場に参入した。

ハイレゾ対応密閉型ヘッドホン「VINON P901」実勢価格1万5980円(税込み)
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ハイレゾ対応イヤホン「VINON P609」実勢価格5910円(税込み)
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 さらに上位モデルのハイレゾ対応イヤホン「JEWELTONE R1」(実勢価格4万9680円・税込み)も売り出し、市場開拓を進める。R1は付属のコードやポーチまでも国産を貫くとともに、自社が長年培ってきたルビーの加工技術を生かし、音響フィルターにルビーを応用して商品化した。

ハイレゾ対応イヤホン「JEWELTONE R1」実勢価格4万9680円(税込み)
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試した!
P609は、この価格帯の製品にありがちな高音がキツい弱点がなく、低音の量感も出ていて気持ちよく聴かせる。P901も低音の量的なバランスが良好で、昔からのHiFiオーディオファンが好む音質に仕上がっている。一方、R1はナチュラル志向の音で響きが美しいが、実勢価格5万円を考えると、コスパはあまりよくない。5万円クラスには各社のプロフェッショナルグレードがそろい、ライバルが強過ぎる。音のチューニングの蓄積がもう少し必要だろう。(AV評論家・折原氏)

 ナガオカの長岡香江社長は、「ナガオカの名前が、往年のファンの方々の記憶に残っているうちにブランドイメージを広めたい」と意欲的だ。