この記事は「日経トレンディ」2015年10月号(2015年9月4日発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 0.195%――。1月、長期金利の指標となる10年物国債(新発)の利回りが過去最低を更新し、史上初の0.1%台となった。とはいえ、歴史的な低水準が続いているだけに、いつ上昇局面に転じてもおかしくないように見える。長期金利は住宅ローン金利、なかでも固定金利への影響が大きい。新規借り入れや借り換えを考えている人は、来年にかけてどんな金利の動きを想定しておけばいいのか。

■長期金利は1月に一時、0.195%を記録した
注)日本相互証券発表の新発10年国債利回り(月末終値)をもとに編集部で作成
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 取材を通して見えたのは、「金利は現状の0.4%前後から上がる可能性が高い」という結論。大きな理由が、為替のページでも触れた、米国の利上げだ。

 好調な経済指標や要人の発言から、米国が遅くとも16年初頭までに利上げすることは、ほぼ確実。投資家が低金利の日本国債を売って米国債にシフトすれば、それだけで金利上昇の圧力になる。今は日銀が国債を大量に買い入れ、この圧力を抑えているが、これも弱まるだろう。なぜなら、日米の金利差を放置すれば、円を売って金利の高い米ドルに替える動きが加速し、長期的に極端な円安が生じかねないからだ。止めようのない円安を防ぐには、「長期金利を上げて日米の金利差を縮めるしかない」と、野村証券のチーフ金利ストラテジスト・松沢中氏は話す。

 といっても、金利は突然、急上昇するわけではない。「まず、日銀の国債買い入れ額を減らそうという議論が関係者から出てくるのではないか」(松沢氏)。これにより、市場参加者は将来の買い入れ減額を予想して行動するので、金利は緩やかに上がり始める。そして、来年以降のどこかのタイミングで、日銀は実際に国債買い入れの減額を始め、金利は本格的に上昇する――。来年にかけては、こんなシナリオが描けるのだ。

 ただ、金利が上がるといっても上限は見極めやすい。「人口減少、労働力不足など日本経済のマクロの問題は変わっていない。圧倒的な好景気が訪れるとも思えず、本質的には金利は上がりようがない」(東海東京証券のチーフ債券ストラテジスト・佐野一彦氏)からだ。金利上昇を見込む野村証券の松沢氏も、今の日本では「1.5%が一つの均衡点」と見ている。しばらくの間、上限はこの前後と考えてよさそうだ。