電力小売全面自由化の狙いと考えられる影響について探るべく、1回目は制度の内容について触れた。その最後で伝えたように、電気の価格が5%低下すれば、電気事業者を変えたいという意向を持っている消費者が約5割いることが分かっている。

 では電力小売の自由化が先行している欧米諸国では、価格は下がっているのだろうか?

 実は海外では、電力小売の完全自由化後に電力料金が上昇しているケースが多い。

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自由化すれば電気料金が安くなるという単純な構図ではない

 背景には環境政策費用の上昇や、燃料価格の変動などの影響もある。電力小売業者が置かれた環境は、年々変化してきている。よって自由化が電力価格の上昇を引き起こしたとは一概に言い切れない部分もあるが、ただ、自由化すれば電気料金が安くなるという単純な構図ではないのは事実だ。

 先行国では他にも、電力事業者の合併や買収が相次ぎ、英国6大電力事業者のうち、4事業者が外国資本になるという状況を生み出したり、顧客獲得競争の激化によって、強引な訪問販売や電話勧誘が増えて、こうした販売手法を禁止する例も出ているという。

事業者間の競争で、各社のセットメニューが増えすぎて複雑に

 また、消費者の選択肢が広がるという、一見メリットがありそうな部分でも、先行した海外諸国では課題が出ているようだ。

 たとえば、競争を背景に、電気小売事業者が様々なメニューを開発したことにより、料金メニューが複雑化した。住宅保険などの金融サービス、自動車関連サービス、通信関連サービスなどとセットにする例がある。省エネ利用のアドバイスなどによって、効率的な利用を提案するといった例や、配管清掃サービスやスポーツ観戦への招待、有名選手のサイトのプレゼントといったものまで、セットメニューのなかに盛り込む例もある。このため英国では料金メニューの数を制限する動きが出ているというほどだ。

 さらに、こうしたサービスのセット化を実現するために、電力会社が自動車関連サービス企業、通信関連サービス企業を買収するといった異業種買収の動きも出ているという。

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