神戸に本社を置くアウトドアブランド「ファイントラック」が2017年10月28日、東京・表参道に同ブランド初の直営店「finetrack TOKYO BASE」をオープンした。同社は2004年に創立、現在の社員数は約30人と規模はまだ小さいが、ウエアやギアを素材から開発しており、原材料選びから商品開発、そして製造に至るまでの全工程を国内で行う国産アウトドアメーカーだ。世の中で常識とされていることを「本当なのか」と問うことから商品開発を始める同社の製品は、どちらかというとコアなユーザーをうならせる硬派なものが多い。

 その同社が、なぜ大手アウトドアブランドや高級ファッションブランドの店舗が立ち並ぶエリアに店舗を構えたのか。高木道朗取締役に話を聞いた。

土日は山にいるユーザーのため、職場から30分以内の場所を選んだ

 高木氏は1号店を関西ではなく東京でオープンした第一の理由を、「ファンの6割が関東圏にいるから」と話す。

 これまで同社では販売の9割を小売店に委ねてきたが、既存ユーザーやメディアなどで同社の製品を知った消費者から「どこに行けば買えるのか」という声が多く寄せられていたという。そこで「試着したり、手に取って素材を確認できたり、直接交流したりできる場所を作り、そうした声に応えたいと考えた」(高木氏)。また、ユーザーの比率が高い=マーケットが大きく、地方からの出張先としても東京が多いことから、店舗を出すなら東京と決めていたという。

ファイントラックの高木道朗取締役
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 ただ東京でアウトドアを代表する街といえば、表参道よりも神保町やお茶の水が一般的だ。なぜ表参道なのか。

 「神保町界隈はアウトドアに強い街だが、それだけに弊社が製品を卸している小売店が数多くあるため、避けたかった」。ICI石井スポーツやさかいやスポーツ、Lブレスなど大手小売店が軒を連ねるエリアに出店すると、商品のバッティングで売り上げが分散し、小売店側のメリットが減る。恩を決して仇で返さないという同社のスタンスがうかがえる理由だ。

 ただ仕事帰りに立ち寄ってもらう狙いも大きい。「ファイントラックユーザーは土日は山に行っている人が多い。つまり店舗に来れるとしたら平日のアフター5。都内の職場からドア・トゥ・ドアで30分以内で着く場所を探した結果、周囲に駅が多く、利便性の高い表参道が候補に挙がった」

店舗は大手アパレルショップが軒を連ねる明治通りや表参道の路面をあえて避けた場所にある
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