スタバの新展開は“手がかかる紅茶”――。スターバックス コーヒー ジャパンは2016年10月3日から、紅茶の新ブランド「TEAVANA」(ティバーナ)の展開を開始した。

新ブランド「TEAVANA」の発表会に登壇したスターバックス コーヒー ジャパンの水口貴文CEO
新ブランド「TEAVANA」の発表会に登壇したスターバックス コーヒー ジャパンの水口貴文CEO

 ティバーナはもともと北米を中心に展開していた紅茶専門店。2012年に米スターバックスが買収し、2013年に同社の紅茶ブランドとして展開を始めた。米国ではすでに約1万1000店舗でティバーナを使った商品が販売されている。

 米国のティバーナブランドは茶葉にフルーツや花、ハーブやスパイスなどをブレンドした商品や、茶葉にさまざまな素材を組み合わせたり、抽出法を変えたりして作った飲料を展開。2016年秋から日本を含むアジア地域の6200以上の店舗でもティバーナの取り扱いがスタートした。

2016年秋から日本を含むアジア地域の6200以上の店舗でもティバーナを取り扱いがスタート
2016年秋から日本を含むアジア地域の6200以上の店舗でもティバーナを取り扱いがスタート

 日本限定の商品として発売したのが「ゆず シトラス & ティー」(以下、ゆずシトラスティー)だ。ピンクグレープフルーツなどのかんきつ類を用いたブレンドジュースと、ゆずを中心とした果肉、茶葉を組み合わせて提供する商品で、その抽出方法がユニーク。本来は沸騰した湯で紅茶を入れるところ、ゆずシトラスティーはなんとスチーム、つまり沸かしたジュースで紅茶を抽出するというのだ。

「ゆずシトラスティー」のホット(左)、アイス(右)。価格はともにショート390円、トール430円、グランデ470円、ベンティ510円
「ゆずシトラスティー」のホット(左)、アイス(右)。価格はともにショート390円、トール430円、グランデ470円、ベンティ510円

ホットとアイスでは味もいれ方も違った!

 まず驚いたのが、ゆずシトラスティーのホットのいれ方。ミルクを温めて泡立てるのに使うスチーマーでジュースをスチームするところから始まるのだ。空気を入れながら撹拌(かくはん)して温めたジュースを、ティーバッグと果肉ソースが入ったカップに注ぎ、混ぜ合わせて完成させる。紅茶を湯以外で抽出する飲み物といえば牛乳を使ったロイヤルミルクティーがあるが、ジュースで抽出した紅茶は画期的だといえるだろう。

 ゆず茶のような味をイメージして試飲したが、紅茶を使用しているだけあって、渋みや苦味がしっかり感じられた。

まずカップにティーバッグと果肉ソースを入れる
まずカップにティーバッグと果肉ソースを入れる
ジュースをスチームしている様子。かんきつ系の香りが漂っていた
ジュースをスチームしている様子。かんきつ系の香りが漂っていた
スチームしたジュースをカップに注ぐ
スチームしたジュースをカップに注ぐ
混ぜ合わせたら完成
混ぜ合わせたら完成

 一方、アイスはカップの中に果肉ソースを入れて冷えたシトラスジュースを注いだあと、ブラックのアイスティーを注いで混ぜ合わせている。飲んでみると、渋みや苦味は控えめで、ストローで果肉を吸えるのでデザート感覚で飲めそう。

 というわけで、同じゆずシトラスティーという商品名でありながら、茶葉も抽出方法も異なるホットとアイスは味も香りが全く違っていた。スターバックスには夏季限定やクリスマス商品など期間限定の商品も多いが、ゆずシトラスティーは通年販売する予定。今後は新しい商品も開発していく方針だという。

紅茶はコストパフォーマンスが悪かった?

 ティバーナ導入以前のスターバックスにおける紅茶の位置づけについて、同社の水口貴文CEOは「コーヒーを飲みたい気分ではないときの消極的な選択肢になっていた」と説明する。日本における紅茶の市場規模が1兆円弱あることや、消費者の健康志向が高まっていることから、「紅茶をコーヒービバレッジ、フラペチーノに並ぶ、スターバックスの第3の柱にしたい」という。

ティバーナの世界観をイメージしたバリスタ用エプロンも開発
ティバーナの世界観をイメージしたバリスタ用エプロンも開発

 スタバで紅茶を選ぶ人が少ないのは、もちろんスタバ=コーヒー専門店という認知が圧倒的だからだろう。しかし、目の前で豆をひいたり、ミルクをスチームしたりなど手をかけているのが分かるコーヒー系ドリンクに比べ、ティーバッグをカップに入れて湯を注ぐだけの紅茶はコストパフォーマンスが悪いと感じる人も多かったのではないか。そう考えると、ジュースをスチームして抽出するような“手がかかる紅茶”は今後も登場しそうだ。

ティバーナ専用のスリーブ(カップ用のカバー)も開発。従来から扱っていたアールグレイやカモミール、ほうじ茶など、ティーバッグを用いた商品もティバーナの商品に切り替える
ティバーナ専用のスリーブ(カップ用のカバー)も開発。従来から扱っていたアールグレイやカモミール、ほうじ茶など、ティーバッグを用いた商品もティバーナの商品に切り替える

(文/樋口可奈子)

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