経営の危機に瀕していたユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)をV字回復させた立役者、森岡毅氏。同社を2017年1月に退任した後は、「次はどこに移籍するのか?」と業界内外の注目を集めた。そしてついに、半年以上の“空白”期間を経て、再始動を発表。彼が選んだ道は、マーケティングを主軸とする新しい会社の立ち上げだった。森岡氏の新しいビジョンは何か、どこよりも早くお伝えする。

インタビューに応じる森岡毅氏
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――新しい会社の設立主旨を教えていただけますか。

森岡: マーケティングの力によって、持続可能な企業再生を手がけることです。マーケティングの本質は、その企業の製品やサービスが選ばれる“必然”をつくり出すこと。言い換えれば、売れる仕組みをつくることです。そのノウハウを移植するのが、新しい会社の役割です。

社名は、「刀(カタナ)」としました。マーケティングの精鋭をそろえています。

――日本風の社名に込められた意味は?

森岡: 「日本を元気にすること」が、社の理念の根底にあるからです。今の日本が直面しているさまざまな問題に対して、マーケティングを駆使して解決策を示す。それが日本全体の活性化につながるはずです。日本は、本当の意味でのマーケティングの普及が遅れています。これから世界と戦うための武器として、我々がマーケティングという「刀」を提供するわけです。私個人の究極的な目標は、「日本のブランドマネジャー」になること。“ジャパンブランド”を強くする活動に、必死で取り組んでいきたいですね。

マーケティング精鋭集団「刀」の創業メンバーは森岡氏(右)と今西聖貴氏(写真中央)、立見信之氏(写真左)の3人
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森岡毅氏(代表取締役 CEO)
●戦略家・マーケター

1972年生まれ。神戸大学経営学部卒業後、96年P&G入社。ブランドマネージャーとして日本ヴィダルサスーンの黄金期を築いた後、2004年P&G世界本社(米国シンシナティ)へ転籍、北米パンテーンのブランドマネージャー、ヘアケアカテゴリー アソシエイトマーケティングディレクター、ウエラジャパン副代表を経て、2010年USJ入社。12年、同社CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)、執行役員、マーケティング本部長。USJ再建の使命完了後、17年、マーケティング精鋭集団「刀」を設立。主な著作に『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』、『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』、『確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力』(共著)がある

今西聖貴氏(シニアパートナー インテリジェンス)
●市場構造の解析および需要予測モデル開発・運用のプロフェッショナル

1953年生まれ。シンシナティ大学大学院理数部数学科修士課程卒業。83年P&G入社。日本の市場調査部で抜群の実績を上げて頭角を現し、92年P&G世界本社(米国シンシナティ)へ転籍。160カ国を超える市場でビジネスを展開するP&Gの中枢において、世界各国に有効な需要予測モデルの開発、世界中の市場分析・売上予測をリード。2012年、森岡の招聘によりシニア・アナリストとしてUSJ入社。17年、森岡らとマーケティング精鋭集団「刀」を設立。代表著作に森岡と共著のベストセラー『確率思考の戦略論』がある

立見信之氏(シニアパートナー ファイナンス)
●ファイナンスのエキスパート

1971年生まれ。早稲田大学法学部、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス修士課程卒業後、98年に三井物産入社。三井物産戦略研究所で新規事業立ち上げのプロジェクトマネジャーを務める。2004年ボストン コンサルティング グループに移り、消費財メーカーの海外進出案件や外資系エンターテイメント企業の通信事業進出などのコンサルタントを務める。11年、USJ入社、企画部長として中期戦略および資本政策の企画立案・実行を牽引。USJにおいて困難を極めた投資とリターンのファイナンシャル・マネジメントをリード、森岡をサポートし、USJのV字回復に貢献した。17年、森岡の志に共感し、マーケティング精鋭集団「刀」を設立