なぜ依存しているのかを知ることが大切

 「なぜマスクに依存しているのか、という理由を明らかにすることが大切だ」というのは、東京メンタルヘルス・カウンセリングセンターの武藤清栄所長だ。同センターでは、ここ10年で、マスク依存症の患者をカウンセリングするケースが増えてきたという。

 「ストレスから身を守る、外の世界と遮断し、自分の正体を明かさないようにする、という目的でマスクを常習的に使っている場合が多い。自分に自信がない、自分の存在は役に立っていないなど、不安や逃避性の気質がある20~30代の人がマスクに依存しやすいようだ。ただし、容姿を気にし、小顔に見せるためにマスクをしている人もいる」(武藤所長)

 カウンセリングでは、徐々にマスクを取るように促し、取ったときに感じるプラスやマイナスの感情を分析していくという。

 「マスクを着けている理由は人それぞれで、例えば自分の顔にコンプレックスがある場合は外しづらく、着けている方が安心感を得られる場合もある。もちろん、マスクを外し、ありのままの自分を受け入れられるようになることは大切だが、急いでマスクを外そうとするのではなく、まずは自己理解を深めていくことが重要」(武藤所長)

 もし自分がマスクに依存していると感じたら、なぜマスクを着けざるを得ないかということを専門家に相談してほしい、と武藤所長は言う。

 「カウンセリングを重ねていく中で、マスクを着ける必要性がないことに気づく場合もある。そうしてマスクを外せれば、精神的にもリラックスして日常を過ごせるようになるだろう」(武藤所長)

 インフルエンザや風邪、花粉症ではないのにマスクを着けていないと不安と感じるようになったらマスク依存症の可能性がある。日常生活に支障をきたすほどマスクに依存していれば、専門機関を受診してほしい。

(文/小口梨乃)