スマホの普及もマスク依存症の要因に

 マスク依存症に悩む患者が増えてきたのは、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行以降、マスクの着用が社会的に認められるようになってからだという。

 「以前は、サングラスや帽子などで自分の表情を隠していたが、積極的にマスクを着ける人が増え、さらにコンビニやドラッグストアで簡単に手に入るようになってから、表情を隠す道具として定着した。マスクの場合は『緊張している自分を隠せる』という安心を手軽に得られるので、依存症になりやすい」(渡辺所長)

 さらに拍車をかけているのが、「スマートフォンやパソコンの普及で直接顔を合わせなくてもコミュニケーションが取れるようになったこと」だと渡辺所長は言う。

 「フェイストゥフェイスの親密な人間関係を求めなければ、メールだけの広く浅いコミュニケーションだけで日常を送ることができる。職種によっては人と話さなくても仕事ができ、とくに不便を感じないので、マスクに依存したままになってしまう」(渡辺所長)

 それでは、マスク依存症をどのように改善していけばよいのだろうか。

安心して話せる人とコミュニケーションを深める

 渡辺所長は、「自分のことを受け入れてくれる人を見つけ、話すことが大切」と言う。

 「家族でも友人でも、この人とだったら話してもいいという人を見つけ、まずはウォーミングアップすること。社交不安障害の人にとっては大きな一歩だが、依存症から立ち上がるためには、自分の努力が必要。友人ができず、社会から孤立しそうな危機感を覚えたら、安心して話せる人とコミュニケーションを密にして安心感や自信を得ることが重要。そうすれば、少しずつマスクに頼らない生活を送ることができるようになる」(渡辺所長)