マスクは“他人との壁”

 「マスク依存症は社交不安障害のひとつ」と話すのは、依存症に詳しい赤坂診療所の渡辺登所長だ。

 「社交不安障害とは、プレゼンや結婚式のスピーチなどで緊張することに極度の恥ずかしさを感じたり、他人の目が気になって人前で食事を摂ることができなかったりなど、人とのコミュニケーションで不安を感じる病気。自分が緊張していることを知られたくないから、マスクで表情を隠さないと外出できなくなる場合もあり、日常生活に支障をきたしてしまう」(渡辺所長)

赤坂診療所の渡辺登所長。医学博士、精神保健指定医、産業医。主な著書に『よい依存、悪い依存』(朝日新聞社刊)、『パニック障害』(講談社刊)などがある
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 現在、社交不安障害を抱えているのは100人中5~6人と言われ、決して珍しい病気ではないが、問題は、外出はできるが人とのコミュニケーションを避ける“対人的なひきこもり”になってしまうことだ。

 「マスクはいわば他人との壁。買い物などの表面的なコミュニケーションはできても、職場や家庭などで親密な関係になるのが面倒で、結果的に孤立してしまうこともある」(渡辺所長)

 「社交不安障害は遺伝的な要素も強いが、学校や職場などで人前に立って話したときに笑われたなどの失敗体験がトラウマになっていることも多いそうだ。