シニアの生活シーンの中にヒット商品の種がある!?

 包材と冷凍食品加工技術の進化がリンクし、冷凍食品のおいしさが急速に進化していることも、舌の肥えたシニア世代に人気が高まっている理由だ。ニッスイの「粗挽きハンバーグ」は外装袋ごと電子レンジに入れて温める仕様のため、冷凍状態のハンバーグが袋の中で蒸されることになり、ふんわりしっとりと仕上がる。さらに「ソースが多めのほうがハンバーグのおいしさが引き立つ」という実体験に基づいた設計で、ハンバーグが130gに対し60gがソース。袋の中のハンバーグが入っているトレーは、電子レンジの加熱後に手で持っても熱く感じないよう、ふちを大きくとっている。

 また皿に盛りつけるときにたっぷりのソースをかけやすいよう、注ぎ口の形を工夫している。こうした細かい工夫はシニアのためだけではないが、年齢とともに細かい作業がしにくくなるシニアにはおおいに歓迎されそうだと感じた。「今成長しているのは、 “シーン”や“時間”を訴求した冷凍食品。生活者が何を思いながらその冷凍食品を使っているか、そこから商品を考えることが必要」(日本水産の熊谷氏)。

 シニア向け即席食品は今後も広がりを見せそうだ。味の素は2017年8月、食が細くなりたんぱく質が不足しがちな高齢者に向け、「クノール たんぱく質がしっかり摂れるスープ」を発売。「高齢者の5人に1人はたんぱく質不足という現状が問題になっているが、たんぱく質を摂取したいと考えている高齢者の9割以上が普段の食事から取りたいと考え ている。肉や魚で必要とする量を毎日摂取するのは大変だが、お湯を注ぐだけでできるカップスープなら、朝食や昼食にプラスするだけで手軽においしく、不足しがちなタンパク質が取れる」(味の素)。

 今後も増えるシニア世代のニーズをうまく捉えられれば、市場はまだまだ伸びる可能性がありそうだ。

「粗挽きハンバーグ」のトレーは電子レンジの加熱後に手で持っても熱く感じないよう、ふちを大きくとっている
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トレーは皿に盛りつけるときにソースをかけやすいよう、注ぎ口の形を工夫している
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「デリシャスKitchen」シリーズの人気商品「ふわとろオムライス デミグラスソース(310g)」(実勢価格298円)は「ふわとろ」という言葉に目がいくようにデザインしている
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味の素が2017年8月、たんぱく質の摂取が不足しがちな高齢者に向けて発売した「クノール たんぱく質がしっかり摂れるスープ<コーンクリーム><ポタージュ>」(実勢価格は各198円)。「クノール カップスープ<コーンクリーム>」と比較すると約8倍のたんぱく質が含まれているという
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(文/桑原恵美子)