セブン&アイ・ホールディングスグループのドラッグストア「セブン美のガーデン」が、資生堂との共同開発でボディケアのPB(プライベートブランド)「sept beaute」(セプトボーテ)を立ち上げた。2016年9月28日にボディ用乳液やハンドクリームなどの計8商品を発売する。

 ブランドのコンセプトは、「アロマ」。かんきつ類をイメージした「リチャージの香り」とハーブをイメージした「リラックスの香り」の2ラインを用意している。

ピンクのパッケージの「リチャージの香り」と紫のパッケージの「リラックスの香り」の2ライン。「アロマミストシャワー」(30ml、900円)、「アロマハンドトリートメント」(30g、900円)、「アロマボディーミルク」(150ml、1200円)、「アロマボディーバター」(70g、1200円)など
ピンクのパッケージの「リチャージの香り」と紫のパッケージの「リラックスの香り」の2ライン。「アロマミストシャワー」(30ml、900円)、「アロマハンドトリートメント」(30g、900円)、「アロマボディーミルク」(150ml、1200円)、「アロマボディーバター」(70g、1200円)など

 セブン美のガーデンの主な利用者層は30代から40代の女性。同社によると、この世代はボディケアに関して、肌の乾燥などのトラブル対策と同時に香りによる癒やしやリフレッシュを求めているという。そこで、脳科学研究を化粧品開発に応用し、脳に働きかけるフレグランスなどを展開している資生堂と手を組み、セプトボーテを開発した。

 開発にあたっては、セプトボーテの2種類の香りを嗅いだときの脳の血流と心拍数の変化を測定し、香りへの反応をデータ化。入浴後の使用を想定し、「イライラしたときにはリラックスの香り、落ち込んだときはリチャージの香りで、一日の終わりに小さなご褒美を自分自身に与えてほしい」と提案している。

セブン美のガーデン店内の様子。ほとんどの店舗がイトーヨーカドー店内に併設されている
セブン美のガーデン店内の様子。ほとんどの店舗がイトーヨーカドー店内に併設されている

フランス系ナチュラルブランド「ロクシタン」を意識

 2000年代後半から、ドラッグストア各社は高級PB化粧品の開発に力を入れている。マツモトキヨシがアンチエイジング化粧品「レチノタイム」、オーガニックシャンプー「アルジェラン」をヒットさせたのを皮切りに、サンドラッグもノンシリコンシャンプーを発売するなど、各社ともに高付加価値商品で顧客をつかむ戦略に出ている。

 セプトボーテは、セブン美のガーデンとしては2つめのPB商品。2015年に発売した、コーセーと共同開発したスキンケアブランド「ネイチャーパーフェクト」は化粧品や乳液、美容液をひとつにまとめたオールインワンジェルで、日焼け止め効果や化粧下地を加えた「朝用」と、パック効果を加えた「夜用」の2商品を展開。現在まで好調に売り上げを伸ばしているという。

「他社との差異化のためにはPB化粧品が必要。ネイチャーパーフェクトがある程度成功しているので、同じスキンケアのジャンルから出すと購買層がかぶってしまう。そこで、ボディケアに的を絞った」と、同社MD部化粧品担当マーチャンダイザーの坂東のり子氏。

 市場調査の結果、香りと保湿の両方を重視するという商品コンセプトが決定。競合として意識したのは、国内に100店舗以上を構えるフランスのナチュラルコスメブランドだった。

 「競合として意識したのは、ずばり『ロクシタン』」とセブン美のガーデンMD部の原野佳美部長は話す。

 ロクシタンはアロマテラピーを基本として開発されたコスメで、バラの香りや、レモンの香りに似た「ヴァーベナ」というハーブを使用したシリーズが人気のブランド。20代から40代まで幅広い年齢層の女性を中心に支持を集めているが、30g入りのハンドクリームが1400円、ボディ用乳液は3000円台が中心で、手ごろなセルフ化粧品と比べると価格設定は高めだ。

 原野部長は「ロクシタンには手が出せないが、1000円以下が中心のセルフ化粧品よりはプレミアム感を感じられる価格帯の商品を、セブン美のガーデンのユーザーは求めている」と説明する。

「アロマボディーバター」(70g、1500円)
「アロマボディーバター」(70g、1500円)

香りよりも「独特の使用感」が武器

 香りのバリエーションが豊富なロクシタンに比べると、リチャージとリラックスの2つの香りしかないセプトボーテは、アロマという点ではやや物足りない。イメージとしては、従来のヘアケア製品にもあったフローラル、シトラスといったざっくりした香りに近いだろう。 

 ただ、スマホに指紋が付きにくいハンドクリームや肌に置いた瞬間にバターのようにとろけるボディクリームなど、資生堂の技術力を生かした独特の使用感という売りはある。セルフ化粧品という位置づけではあるが、来店者が実際に商品を体験すれば、その使用感に驚くだろう。

ハンドクリームに特殊なパウダーを配合しているので、使用感がさらりとしていて指紋も付きにくい
ハンドクリームに特殊なパウダーを配合しているので、使用感がさらりとしていて指紋も付きにくい
ボディクリームはバターのような固形で、手に取った瞬間は硬い。ただ肌にのせるとフライパンの上で油脂が融解するように成分が溶け出し、肌になじむ
ボディクリームはバターのような固形で、手に取った瞬間は硬い。ただ肌にのせるとフライパンの上で油脂が融解するように成分が溶け出し、肌になじむ

(文/樋口可奈子)

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