バイクへのABS(Antilock Brake System:アンチロックブレーキシステム)装着義務化がもうすぐ始まる。新型車は2018年10月1日に、継続生産車は3年後の2021年10月1日に、原付二種(51~125cc)や軽二輪(126~250cc)、小型二輪(251cc以上)を対象に義務化される。前編にも記したが、このうち原付二種(51~125cc)はABSもしくはCBS(Combined Brake System:コンバインドブレーキシステム)のどちらかを搭載すればいい。

ABSのトライアル。転倒防止のバーを装着している(写真提供:ボッシュ)
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コストを抑えた小排気量モデルでのCBS

 ABSはブレーキを掛けた際にタイヤがロックしないようにして停まるのに必要な距離を短くするシステムだが、CBSはひとつのレバー(ペダル)を操作しただけで、前後輪のブレーキが連動して制動するブレーキシステムのこと。原付二種でCBSでもOKとしているのは、コストを抑えるためと考えていいだろう。比較的安価な原付二種には、高コストになるABSは装着しづらいのだ。

 では、安く作れるというCBSとはどんなものだろう? これは下の図を見てもらうのが早い。図は20年以上前の原付(50cc)スクーターに装着されたCBSで、左のブレーキレバーを操作すると後輪だけでなく、ケーブルを介して前輪にもブレーキがかかる装置だ。非常にシンプルで、これならコストもそれほどかからないだろう。もちろん現在のCBSはこれほど単純ではないし、シンプルな構成だとしても、前後輪に働くブレーキ力のバランスなどノウハウが必要な部分も多い。それでもABSより安価にできることは想像できる。

 では、CBSはABSと同等の性能を確保できるのかというと、もちろんそんなことはない。両者は別物と考えるべきだ。ABSはタイヤがロックするするのを防ぐことで路面状態にかかわらず制動距離を短くしてくれるが、CBSは前後のブレーキを同時にかけるだけで、タイヤのロックまでは面倒を見てくれない。

 これらのCBSは、バイクの運転があまりうまくない人が、ブレーキ時に後輪を先にロックさせてしまうのを防ぐものと考えればいい。急制動時、前後輪ブレーキを同じように利かせると、通常は後輪が先にロックする。実は、後輪ロックはたいして危険な状態ではないのだが(リリースすれば元に戻る)、慣れていないとそのまま車体が横滑りして転倒、という事態になりかねない。CBSがあれば前輪にも制動力が分配されるから、この後輪ロックは起こりづらくなる。シンプルなCBSでもちゃんと意味があるのだ。

初期の前後連動ブレーキ。左レバーからワイヤーが延び、右側のブレーキユニットを動かしているのが分かる
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こちらはもう少し新しい連動ブレーキ。前輪のブレーキには3つのピストンがあり、そのうちのひとつを後輪と連動させている
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CBSを搭載しているホンダ「PCX」。125ccクラスの人気モデル。ホンダ独自の連動ブレーキシステム「コンビブレーキ」を搭載している
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