2016年で3年目を迎える「きかんしゃトーマス号」の運行を開始した大井川鉄道。一方、6月には急行「はまなす」で使用されていた14系客車を購入。同社はこの車両をどうするつもりなのか? まさか、きかんしゃトーマスに? 前田忍社長に直撃した。

 大井川鉄道(静岡県島田市)は10月まで「きかんしゃトーマス」のキャラクターを模したSL列車「きかんしゃトーマス号」の運行を新金谷駅~千頭駅間で運行している。2014年にスタートしたきかんしゃトーマス号の運行は2016年で3度目。いまや同社の名物となっている。

 同社は2014年3月期に3期連続の赤字となって一時は経営危機を迎えたが、2015年度は、きかんしゃトーマス号のヒットや金融機関による有利子負債の免除で黒字に転換。さらに青森駅~札幌駅間で運行され、北海道新幹線の開業とともに2016年3月で廃止された急行「はまなす」で使用された14系客車をJR北海道より購入するなど、新しい動きも見せている。

大井川鉄道で2014年から運行を開始した「きかんしゃトーマス号」
[画像のクリックで拡大表示]
2016年3月までJR北海道で使用されていた急行「はまなす」の客車
[画像のクリックで拡大表示]

大井川鉄道のきかんしゃトーマスワールドは年々拡大

 きかんしゃトーマスのキャラクターSL列車は、2014年より運行を開始したトーマスと、2015年に登場した「ジェームス」の2両。2016年は6月11日~10月10日に週末や月曜日、夏休み期間中を中心に77日間、174本の運行が予定されている。実物のSLをトーマスとして装飾したキャラクター列車は米国などでも運行されているが、大井川鉄道のトーマスはアジアでは初。作中で登場するトーマスの雰囲気を見事に再現した姿は、国内外から高い評価を受けている。そのため、2014年と2015年の乗車券は発売と同時に即完売となっており、抽選販売が実施されるほど人気だ。

千頭駅に到着した「きかんしゃトーマス号」
[画像のクリックで拡大表示]
2015年に登場した「ジェームス」
[画像のクリックで拡大表示]
大井川鉄道はSLの動態保存運転のパイオニア的な存在。1年の大部分の期間で旧型客車をひいたSL急行に乗ることができる
[画像のクリックで拡大表示]

 2014年に初めて機関車と客車をトーマスのキャラクターとして装飾し、新金谷駅~千頭駅間で走らせた。また、千頭駅では、構内に静態保存していた機関車を、作中に出てくる日本生まれの機関車「ヒロ」に装飾している。これは、作中でヒロがトーマスに「日本に遊びに来いよ」と言うセリフがあり、きかんしゃトーマス号の運行は、トーマスがヒロに会いに来たという設定となっているため。

 また、千頭駅の構内ではこのヒロを中心としたさまざまなトーマス関連のアトラクションを楽しめる「トーマスフェア」を開催。2015年はジェームスの登場に加え、千頭駅の展示に「パーシー」が加わった。2016年はこれらに加え、新たに大井川鉄道の沿線を運行するバスの「バーティ」と、千頭駅で鉱山鉄道のディーゼル機関車「ラスティ」による駅構内の遊覧運転などを追加している。このように、年を追うごとにきかんしゃトーマスの世界観を沿線全体で作り出す施策を拡大しているのだ。

「トーマスフェア」で展示されている「パーシー」(左)と「ヒロ」(右)。いずれも静態保存の機関車に装飾を施している
[画像のクリックで拡大表示]
2016年は新たなコンテンツとして大井川鉄道の沿線を運行するバスの「バーティ」を投入
[画像のクリックで拡大表示]
2016年より「トーマスフェア」のアトラクションとして加わった鉱山鉄道のディーゼル機関車「ラスティ」
[画像のクリックで拡大表示]

 ルートとしては、JR東海との接続駅である金谷駅経由で新金谷駅まで行くか、観光バスや車などで新金谷駅まで行き、そこからトーマス号に乗って千頭駅の「トーマスフェア」を楽しむというのがメーン。オプションとして、千頭駅から井川線を乗り継いで寸又峡温泉に宿泊するパターンもある。

 実際に新金谷駅~千頭駅間できかんしゃトーマス号に乗ってみたが、本物のトーマスだと思ったのか、小さい子供が「トーマス!」と呼びかけている様子も見られた。駅の出発時や走行中の車内にはアニメと同じ声優による案内放送が流れるなど、あたかも本物のトーマスが走りながらしゃべっているような演出がなされていた。そもそも大井川鉄道は大井川に沿った風光明媚(めいび)な景色が広がる路線となっているため、トーマス好きな子供はもちろん、大人も楽しめるだろう。

7月21日に実施された特別招待日には作中に出てくる「トップハム・ハット卿」も登場して招待された子供たちを出迎えた
[画像のクリックで拡大表示]
シートにトーマスのカバーを施すなど、車内もトーマスの雰囲気を味わえるように装飾している
[画像のクリックで拡大表示]
トーマスの物語の舞台である「ソドー島」の路線図を車内に掲示して雰囲気を盛り上げている
[画像のクリックで拡大表示]
「きんかんしゃトーマス弁当」。弁当の掛上がスタンドになったり、海苔がトーマスや動輪をイメージしたものになっている
[画像のクリックで拡大表示]