ヒトスジシマカの防除対策は、ほとんど行われていなかった

 日本では、2014年に海外渡航歴のない人がデング熱に感染したことが確認されるまで、ヒトスジシマカの駆除があまり積極的に行われてこなかったという。

 「国立感染症研究所では、東京都が代々木公園に殺虫剤を散布する直前に、12カ所で8分間蚊を捕まえ続ける『8分間人囮法』で密度調査を行った。平均は2.9頭だったが、30頭近い場所もあった。デング熱やジカ熱が慢性的に流行しているシンガポールでは、媒介蚊の駆除を積極的に行っているが、シンガポールで行った密度調査では約2頭だった。つまり、代々木公園のほうが、亜熱帯地域よりもはるかに蚊の密度が高かったことになる」(小林氏)

 また、シンガポールではジカウイルス感染症の患者が住む住所を公表しているのに対し、日本では個人情報保護法などの理由から、ほとんど公表していない。

 「公表することによって、その地域に出かけるときには事前に蚊の対策ができるが、知らなければそうはいかない。感染者を防ぐためにも、情報の公開は必要だ。今年6月に世田谷区でデング熱の患者が確認されたケースでは、蚊に刺された場所を詳細に公表していたので、今後もならってほしい」(小林氏)

 デング熱に対する有効なワクチンは今のところない。それでは、蚊媒介感染症を予防するためには、どのような対策が必要なのだろうか。

 「大切なのは、個人個人が虫よけ剤などを使って媒介蚊の防御を徹底すること。そして、国や自治体には、媒介蚊の生息密度を下げるためのさらなる対策を期待したい」と小林氏は主張する。

 蚊媒介感染症は、もはや人ごとではすまされない状況になっているようだ。出かける前には虫よけ剤を使う、蚊が多い場所に行くときは長袖長ズボンを着用する、素足でサンダルを履かないなど、自分や家族を守る対策をとることが、すぐにできて有効な防御法かもしれない。

虫よけ剤をしっかり使い、蚊に刺されないようにすることが大切。日本での蚊媒介感染症の拡大を防止するため、虫よけ成分を最高レベルまで配合した、高濃度虫よけ剤を開発。「スキンベープ プレミアム」(写真左)は、虫よけ成分(ディート)を30%配合、「天使のスキンベープ プレミアム」(写真右)は、虫よけ成分(イカリジン)を15%配合している。ともにオープン価格
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(文/小口梨乃)