本格的な夏前にも関わらず全国各地で気温の高い日が続き、今年は例年以上の猛暑になるのではとささやかれている。たっぷりと汗をかくこれからの季節は、冷えたビールが格別においしい。だが、ビールを飲む量が増える影響か、夏は痛風発作が起こりやすい季節でもあり、暑気払いの飲み会が増えるビジネスパーソンは注意が必要だ。夏を健康的に乗り切るために、痛風のメカニズムと対策を帝京大学薬学部教授・薬学博士の金子希代子氏に聞いた。

夏に増える痛風の原因はプリン体&水分不足

金子希代子 先生
帝京大学薬学部 教授 薬学博士
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 痛風発作の症状はさまざまだが、足の親指の付け根が赤く腫れて痛むケースが多い。そもそも痛風発作は、増え過ぎて血液に溶けきれなくなった尿酸が、結晶化して大きな関節にたまり、それがなんらかのきっかけではがれ落ちたときに白血球がそれを異物として攻撃することで起こるそうだ。

 発作の痛みは何もしなくても1週間ほどで収まる。けれど血中の尿酸値が高いままだと、再び結晶化したものがはがれ落ち、再発してしまう。

 「現在、痛風患者は推定100万人以上といわれています。痛風には至っていないが血中の尿酸値が高い予備軍を含めると、成人男性の4~5人に1人は、いつ痛風発作を起こしてもおかしくない状況です」と金子氏。

痛風患者数の推移(厚生労働省の国民生活基礎調査より)

 痛風の原因物質である尿酸は、「プリン体」を代謝する際に作られる老廃物。そしてプリン体というと飲料や食品から体内に取り込まれるイメージがあるが、実はもともと体内にある物質である。細胞内の核酸に含まれていたり、人が活動する際のエネルギー源になる物質も実はプリン体の一種なのだ(詳しくは後述)。

 もちろん、飲料や食品からもプリン体は体内に取り込まれる。植物を含めほとんどの食品にプリン体は含まれているが、白子や肉のレバーなど細胞数が多い食品は特に含有量が多い。飲料ではビールに比較的多く含まれている。

 プリン体を代謝して作られた尿酸は、尿や便の中に排泄される。だが、体内の水分が不足すると尿が作られなくなり尿酸が排泄されにくくなる。夏に痛風発作が起こりやすいのは、汗をよくかくので脱水状態になりやすく、ビアガーデンなどでビールとつまみを大量に飲んだり食べたりするためだ。ちなみに「ビールで水分補給!」と考えている人もいると思うが、アルコールの利尿作用により、逆に脱水状態になることもあるので注意したい。

ほとんどの食品に含まれているプリン体。特にレバーや白子などの食品に多く含まれている
photo-o.com / PIXTA(ピクスタ)
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