この記事は「日経Gooday」2018年6月5日に掲載された「芋焼酎と日本酒、ビール、食後の血糖値上昇が低いのはどれか?」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。

芋焼酎といえば、鹿児島などの南九州を代表するお酒だ。鹿児島県民だけでなく、日本全国の多くの左党に愛されている。「糖質ゼロ」ということもあり愛飲している人も少なくないだろう。そんな芋焼酎にうれしい健康効果があるという論文が2016年に鹿児島大学から発表された。そこで今回は、この研究を統括した鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 特任教授の乾明夫さんに話を聞いた。

芋焼酎に新たな健康効果が!?

芋焼酎のうれしい健康効果が鹿児島大学から報告された。(c)taa22-123RF
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 「鹿児島といえば芋焼酎」――。

 左党であれば、多くの方がこう考えるほど、鹿児島と芋焼酎の関係性は深い。鹿児島で「酒」といったら日本酒ではなく、芋焼酎のこと。以前鹿児島で行われた結婚式に出席した際、円卓に置かれた徳利の中には、日本酒ではなく、芋焼酎が入っていて、たまげたことがあった。まさに「地酒」とはこういうことを指すんだろうなあと思ったものだ。

 薩摩隼人たちの飲みっぷりのよさにも驚いた。とにかくよく飲む。最初はビールからと思いきや、いきなり芋焼酎という方も珍しくない。3人も集まれば、あっという間に4合瓶(720mL)が空になる。芋焼酎はもちろん、食事もガッツリ食べるし、とにかく豪快。さすが西郷どんを生んだ鹿児島の男たちである。

 西郷どんのイメージがあってか、ガタイのいい、どちらかというとBMI(Body Mass Index)高めの方が多いのかと思いきや、私が知る本格焼酎の蔵元たちは、いずれもスマート。やっぱり本格焼酎は「糖質ゼロ」(*1)だからだろうか? そういえばドクターの中には「肥満が気になる方は、日本酒より本格焼酎を飲みなさい」と勧める方もいる。

 そんな芋焼酎にうれしい健康効果があるという研究結果が、2016年に地元・鹿児島大学から発表された(PeerJ. 2016; DOI 10.7717/peerj.1853.)。「食中酒として飲む芋焼酎は、他のお酒より食後の血糖値の上昇を抑制する」というのだ。本格焼酎に血栓を溶解させる働きがあることは、コラムの以前の回でも紹介しているが(こちらの記事を参照)、この話は初耳である。

 ご存じの方も多いと思うが、血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度を指す。血糖値が高い状態が続くのが糖尿病だ。インスリン(*2)の働きが悪くなり、血糖を細胞へ取り込むことが阻害されるため、血糖が高い状態が続く。こうなると、体内の大小の血管がダメージを受け、多くの合併症を罹患するリスクを負うことになる。

 最近では、食後に一時的に高血糖になる、いわゆる「食後高血糖」のリスクも知られるようになってきた。糖尿病と診断されていなくても、食後高血糖になる人は心筋梗塞などの死亡リスクが上昇するという報告も出ている(Diabetes Care. 1999;22:920-924.)。

 高血糖の人は左党にも多い。食中酒として優秀な芋焼酎が、食後の血糖値の上昇を抑えてくれるなんて、朗報以外の何ものでもない。

 そこで事実を確かめるべく、今回の研究を統括した鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 漢方薬理学講座 特任教授の乾明夫さんに話を伺った。

*1 焼酎に含まれる糖質は0g。同じ蒸留酒のウイスキーやウオッカも糖質0g。
*2 インスリンは血糖値を下げるホルモン。

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