集英社は、男性向け週刊誌「週刊プレイボーイ」がプロデュースする飲食店「週プレ酒場」を6月10日にオープンした。同誌が2016年10月に創刊50周年を迎えるのを記念した企画で、グラビアアイドルが接客するカウンターバー「週プレ酒BAR」や同誌にゆかりのある著名人をゲストに迎える「週プレ劇場」など、“男心をくすぐる”仕掛けを多数用意した。

 一見すると50周年のお祭りイベントのように思える「週プレ酒場」。だが、取材を進めると週刊プレイボーイ編集部の本気の取り組みが垣間見えてきた。集英社の狙いを探った。

週プレ酒場
週プレ酒場
住所:東京都新宿区歌舞伎町1-18-9 WaMall 歌舞伎町 5F/営業時間:17時~24時(ラストオーダー23時30分)/電話番号:03-6273-9787/席数:50席/公式サイト:http://shupure-sakaba.jp/

<この記事の内容>
・看板メニューが唐揚げになった理由は?
・グラビア撮影の裏話を生で聞ける
・グラビアアイドルが接客!「週プレ酒BAR」
・週刊プレイボーイならではのビジネスモデル

看板メニューが唐揚げになった理由は?

 「週プレ酒場」は、ゴジラの巨大オブジェでおなじみの新宿東宝ビルの近くにある「WaMall 歌舞伎町」の5階に出店。6月10日から約1年間、開業する。

 店内は、座席数は50席とややこじんまりとしているが、赤に彩られた店内には、モデルでグラビアアイドルの馬場ふみかの巨大なビキニ姿や、歴代の記事で作られた「週プレ50周年ウォール」、みうらじゅん氏が「週プレ酒場の守り神」をコンセプトに描き下ろした天井壁画など、同誌ならではの内装が施されている。

店内は50席のオープンスペースとなっている
店内は50席のオープンスペースとなっている
壁面には馬場ふみかの巨大グラビアが
壁面には馬場ふみかの巨大グラビアが
歴代の記事で作られた「週プレ50周年ウォール」
歴代の記事で作られた「週プレ50周年ウォール」
みうらじゅん氏が「週プレ酒場の守り神」をコンセプトに描き下ろした天井壁画
みうらじゅん氏が「週プレ酒場の守り神」をコンセプトに描き下ろした天井壁画

 看板メニューは、鶏の唐揚げ。その理由は、グラビアアイドルが縁起を担いで好んで食べると言われているから。実は「ナイスボディーは、唐揚げが作る」という都市伝説がグラビア業界ではまことにしやかに語り継がれているという。

 「週プレの唐揚げ」(890円)と名付けられた唐揚げは、グラビアアイドルと共同で開発したソースが付いており、橋本マナミ(サルサ)や原幹恵(油林鶏)、久松郁実(テリヤキ)など各アイドルがオススメするソースと一緒に提供される。他にも「生本まぐろのてんこ盛り」(1690円)や「角煮じゃが」(550円)といったメニューが楽しめる。

看板メニューの「週プレの唐揚げ」(890円)
看板メニューの「週プレの唐揚げ」(890円)
グラビアアイドルと共同で開発した唐揚げ用のソース。全部で8種類
グラビアアイドルと共同で開発した唐揚げ用のソース。全部で8種類
「生本まぐろのてんこ盛り」(1690円)
「生本まぐろのてんこ盛り」(1690円)
「角煮じゃが」(550円)
「角煮じゃが」(550円)

グラビア撮影の裏話を生で聞ける

 報道陣向けの内覧会では、6月30日に開催される週プレ劇場「倉持由香×青山ひかる×菜乃花×鈴木咲 グラドルナイト vol.1」に出演する倉持由香と青山ひかる、菜乃花が登場。報道陣に唐揚げを振る舞った。

 グラドルナイトは、通常の営業とは別に開催されるもので、1部(18時~20時)と2部(21時~23時)の2部構成。各会の定員は50名、料金はワンドリンクとスペシャルフード付きで5000円となっている。週刊プレイボーイに掲載されたグラビア写真をスクリーンに投影しながら、モデルとなった本人たちが撮影時のエピソードなどを披露する。

 他にも週プレ劇場は、7月1日に「ゆでたまご嶋田隆司×石原まこちんキン肉マン総選挙 2017 結果発表」など今後もさまざまな企画を用意している。

報道陣向けの内覧会に登場した倉持由香(中央)と青山ひかる(左)、菜乃花(右)。報道陣に唐揚げを振る舞った

グラビアアイドルが接客!「週プレ酒BAR」

 「週プレ酒場」の一画には、高級なBARを模したスペース「週プレ酒BAR」がある。週刊プレイボーイに登場する本物のグラビアアイドルが「ママ」としてカウンターで接客し、ガールズバーのようなスタイルで飲むことができるという。しかも、一般的なBARよりもカウンターの幅を狭くしており、かなり近い距離でグラビアアイドルと接することができる。

 チャージ料は1時間1万円。延長なしの完全入れ替え制だ。チャージ料には、コース料理全4品が含まれており、7月10日まではサントリーチューハイ「-196℃ストロングゼロ」が飲み放題となっている。

 なお、「週プレ酒BAR」の席数はたった5席で、1日の枠は原則3部のみ。つまり1日に合計で15名のみが座ることができるプレミア席だ。6月9日時点で、6月分の予約は全て埋まっている。1万円とやや高額ではあるが、普段は誌面でしか見られないグラビアアイドルと話せるのは特別な体験になるのではないだろうか。

店内の一画、右側の赤い衝立の向こうにわずか5席の「週プレ酒BAR」がある
店内の一画、右側の赤い衝立の向こうにわずか5席の「週プレ酒BAR」がある
「週プレ酒BAR」の内部。グラビアアイドルとの距離も近そうだ
「週プレ酒BAR」の内部。グラビアアイドルとの距離も近そうだ
内覧会では浅田舞が「ママ」のイメージで登場
内覧会では浅田舞が「ママ」のイメージで登場

週刊プレイボーイならではのビジネスモデル

 「週プレ酒場」は、飲料メーカーが運営するコンセプト酒場や映画やアニメの作品とタイアップしたコンセプトカフェのようなPR用のイベント的な店舗のように見えるが、集英社としては、雑誌以外のコンテンツビジネスを推進させるという狙いもありそうだ。

 つまり、今回の「週プレ酒場」は「妄想の現実化」というコンテンツを販売する場所と位置づけられる。多くの男性は、美しい女性とお酒を楽しむシーンを妄想したことがあるはずで、それを50年にわたりグラビアを提供してきた週刊プレイボーイが「グラビアアイドルと飲める」という形でリアルな体験型コンテンツにしたのが週プレ酒場であり週プレ酒BARなのだ。

 報道陣向けの内覧会に登壇した週刊プレイボーイの増田真晃編集長は、「50周年を迎えた『週刊プレイボーイ』が次の10年、20年のために、何か週刊プレイボーイならではの楽しみや世界観を実際に“体験”してもらえる場を作れないかと考えました。イベントスペースやギャラリーとかも考えましたが、『グラビアアイドルと飲めたら楽しいよね』という冗談みたいな発想から、やはり週刊プレイボーイならではの“男の社交場”として酒場を作ろうということになりました」と語っていた。

チャージ料に含まれるコース料理の4品。これ以外のメニューを注文する場合は別途料金が必要
チャージ料に含まれるコース料理の4品。これ以外のメニューを注文する場合は別途料金が必要
集英社 週刊プレイボーイ編集長 増田真晃氏
集英社 週刊プレイボーイ編集長 増田真晃氏

 集英社が「週プレ酒場」をコンテンツビジネスと位置づけていることは、関係者の「(1年やらないと)採算が取れない」という発言からも見て取れる。おそらく、さまざまなコストと売上をシミュレーションし、利益を出すためには約1年のオープン期間が必要と判断したのだろう。

 また、コンテンツの販売売上だけでなく広告売上を想定している点も興味深い。実は「週プレ酒BAR」は協賛企業の広告枠としての性質を持っている。「-196℃ストロングゼロ」が7月10日まで提供されるのもサントリーが協賛しているからだ。

 「グラビアアイドルと飲める」という強力なコンテンツを武器に、飲食店の店内に広告枠を実現させた「週プレ酒BAR」。これは通常の飲食店にはない「週プレ酒場」だからこそ可能なビジネスモデルだ。

 店舗の場所やグラビアアイドルの出演交渉も、編集部などが自ら行ったという「週プレ酒場」。「週刊プレイボーイ」編集部、そして集英社の本気度はかなり高いといえそうだ。1年後、目論見通り、収益を出せるか注目しておきたい。

内覧会では「週刊プレイボーイNo.25」の表紙を飾る浅田舞(左)と馬場ふみか(右)も登場
内覧会では「週刊プレイボーイNo.25」の表紙を飾る浅田舞(左)と馬場ふみか(右)も登場
壁面を飾る巨大な馬場ふみかのグラビアと本人のツーショットも披露された
壁面を飾る巨大な馬場ふみかのグラビアと本人のツーショットも披露された

(文・写真/シバタススム)

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