きちんとした食生活で「おなかがすくようになった」

──実際に、村岡選手にはどのようなアプローチをされたのでしょうか?

一番ヶ瀬:きちんと栄養を考えて食べる、となると、なんだか面倒そうに思える人も少なくないと思うんです。村岡選手もそういうところがあったので、実は「シンプルで簡単なことでも十分に栄養補給できるんだよ」ということを理解してもらうところから始めました。
 寮生活の村岡選手の場合、平日の朝と夜は寮でご飯が出るし、昼間は学食があるのでいいのですが、土日は自分で作らなければいけないんです。そこで、調理することが煩わしくないように、また当時コンビニによく行くという話だったので、コンビニで購入できる材料で調理できるもの、ということを考えました。
 そうした中で、提案したのが鍋。コンビニで販売されているカット野菜や、スモークやボイルされた鶏肉を買ってきて、それを弊社が提供する「鍋キューブ」と一緒に入れて、レンジでチンすれば、もうそれだけで十分に栄養補給ができると。
 また、うま味たっぷりの汁物というのは胃や腸を活発に動かす要因にもなるので、食欲が湧く効果も期待できます。調理時間で言えば、たったの5分弱。これだったら煩わしさや苦痛も軽減できるだろうということで提案させてもらいました。

──そうしたアドバイスを受けて、実際にやってみての感想はいかがでしたか?

村岡:まず最初に変わったのは、よくスーパーに行くようになったことです。それまで土日は、コンビニで一品もののお総菜やうどん、おにぎりなどで簡単に済ませていました。でも、「あ、そんな簡単なことでいいのか」と思ったら、スーパーに足を運ぶようになって、そのうちに野菜ジュースなどもこまめに買うようになっていきました。

 

──いつごろから効果を感じられるようになりましたか?

一番ヶ瀬:夏ごろにJISS(国立スポーツ科学センター)で打ち合わせをしたことがあって、そのときに肩まわりが大きくなっているな、と感じました。それで彼女に聞いてみると、「除脂肪体重が増えたんです」という話をしてくれて、私としても「いい方向に成果が出てきているんだな」と確認をすることができました。

 

村岡:私が成果を感じたのは、冬になってシーズンが始まってからですね。実は私、どちらかというと「夏太り・冬痩せ」のタイプだったんです。というのも、冬になって競技が始まると、「食べる時間があるなら滑りたい」と思って練習中も注意されないと補食を摂らなかったり、食事そっちのけで滑ろうとしたりしていたんです。動いて消費カロリーが多いのに食べないので、体重が減るのは当然ですよね。
 でも、昨シーズンからは自主的に補食を摂るようになりましたし、練習後もしっかりと食べるようになりました。一番大きいのは、練習中に「おなかがすいた」と思えるようになったことですね(笑)。

一番ヶ瀬:「おなかがすいた」と思えるようになったのは、きちんとした食生活をすることによって、胃や腸が活発に動くようになったからというのが要因しているのだと思います。食欲が湧いている証拠で、そうすると食べようという行為につながっていくので、実はとても重要なことなんです。

 

現地で頼りにしたアミノバイタルGOLD

──平昌2018冬季パラリンピックの現場では、いかがでしたか?

一番ヶ瀬:村岡選手は朝早くに選手村を出て、夜の7~8時まで戻ってこないことが連日続いて、競技期間中はほとんど会うことができませんでした。ただ、実は開会式が始まる直前に、偶然会える機会があって、彼女が挨拶に来てくれたんです。でも、すごく疲れているような表情をしていたんですね。
 それで、これまでやってきたことをここでやっていきましょう、と話をしました。そしたら、翌日からメダルを取り続けていったので、私としては「あ、いい方向にいっているのかな」という気持ちではいました。

村岡:現地入りして以降、練習やレースさながらのトレーニングランをしたりしていて体力的な面と、いよいよパラリンピックだというところでメンタル的なところでの疲労というのはありましたね。正直、疲労を全く感じなかったという日はありませんでしたが、それでも助けられたなぁとつくづく思うのは「アミノバイタルGOLD」でした。
 私にとっては平昌での心のよりどころで、とても頼りにしていました。金メダルを取ったレースのときも疲労がピークに達していたとはいえ、あれだけのパフォーマンスを出せたというのは、一つは味の素さんからのサポートのおかげだと思っています。

味の素のオリンピック・パラリンピック推進室の一番ヶ瀬和彦(左)
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(文/斎藤寿子、写真/伊藤真吾/X-1)