日本の傘メーカー、サエラが開発したエコな傘「+TIC(プラスティック)」が、中国のデザインコンペティションで高く評価された。「+TIC」は金属を一切使わないオールプラスチック製の傘で、100%リサイクルできるのが最大の特徴。デザイン性にも優れ、強風にあおられて傘が裏返っても壊れにくく、プラスチックの弾力性により元の形に戻る。

「+TIC」はカラフルで透明感のあるデザイン。すべてプラスチックでできており、金属は使っていないため、リサイクルしやすい
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強風で傘が逆さまになっても「骨」は折れない
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 その+TICが、日本よりも先に中国のデザインコンペで表彰された。2017年5月、中国美術学院が主催する「China Design Intelligence Award」(以下、 DIA)で、「DIA EXCELLENCE賞」(DIA GOLD賞に次ぐ準グランプリ)を受賞したのだ。45カ国、2000件を超える応募の中でも特に優れ、人類、産業や未来への貢献度の高いデザイン8作品に授与される賞である。ちなみにDIAは公益社団法人日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)が協賛団体となっている。

 +TICの開発は、「使い捨てられるビニール傘の消費構造を変えたい」というサエラの山本健社長の強い思いが発端。一般のビニール傘は安くて便利だが、大量に使い捨てられ、環境にダメージを与える存在にもなっている。そんな状況を変え、世の中に発信したいという山本社長の思いが、日本以上に深刻な環境問題を抱える中国でも受け入れられたということだろう。

 +TICは2017年2月に発売。エイトブランディングデザインの西澤明洋氏がブランディングを担当。西澤氏は、商品のコンセプトをはじめ、ブランドのネーミングやロゴデザインなどをトータルで手掛けた。傘のデザインは、プロダクトデザイナーの柴田文江氏が担当した。

  柴田氏は「私の役目はフォルムをデザインしてプラスチックの風合いを作ること。しっとりとした質感に仕上げることに注力し、傘の内側から見ても裏側に見えないシームレスなデザインを目指した」と話す。通常、傘の軸には上下2カ所に金属製の「はじき」と呼ばれるストッパーが付いている。だが、+TICは、金属を使用せず傘を固定する新しい構造を開発した。

 +TICの販売価格は、3500円。傘生地のカラーバリエーションは10種類。カラーラインとグラフィックライン、各5パターン用意している。カラーラインは、透明なビニール生地の明るさを生かし、細いボーダーで色のニュアンスを表現した。グラフィックラインは、チェックや水玉などオリジナルの柄でデザインした。傘を開いたときと閉じたときの印象が変わる。「雨の日に傘を差すのが楽しくなるように工夫した」と西澤氏は説明する。

 サエラは、環境省によるリサイクル実証事業「BRING PLA-PLUS プロジェクト」にも参加しており、2017年1~3月には、使用済みの傘などのプラスチック製品の回収を、直営店サエラショップで行った。
BRING PLA-PLUS プロジェクト:http://plaplus-project.jp/

(文/西山 薫、花澤裕二=日経デザイン)

壊れにくく、傘生地は破れても簡単に張り替えられる構造で、長く使うことができる
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カラーラインの「GREEN」
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グラフィックラインの「TARTAN CHECK」
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 日経デザインは6月19日(月)、「中小企業のためのブランディング&デザイン経営講座」を開催します。「+TIC」を開発したサエラの山本健社長、ブランディングを担当したエイトブランディングデザインの西澤明洋代表が講演します。中小企業でもできるデザイン活用術をぜひ、お聞きください。セミナーの詳細、申し込みはこちら→http://www.nikkeibp.co.jp/seminar/atcl/vs/nds_20170619/