世界の殺虫剤市場の規模は約8120億円。そのなかで日本の市場は約1000億円を占めているという。高温多湿で虫が多様に発生する自然環境であり、衛生意識が高い国民性にもよるだろう。

 そんな日本を取り巻く“害虫環境”が、ここ2~3年で、大きく変化している。2014年、国内で69年ぶりに海外渡航経験のない人のデング熱感染が確認されたことや、マダニが原因となるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの認知が広まったことに加え、ジカウイルス感染症やデング熱が流行中のブラジルでの五輪開催も間近に迫っているといったことが要因だ。

 こうしたなか、フマキラーは「殺虫剤メーカーが果たすべき責任はより大きくなっている。より早く、より確実に効く製品が求められている」として高濃度処方を採用し、同社史上最強の効きめを追求した 「効きめプレミア」シリーズ(4品)を発売(2015~2016年)。さらに2016年3月には新承認の成分「イカリジン」を配合した虫よけ剤「天使のスキンベープ」と、自治体や害虫駆除業者が使用する業務用薬剤を一般向けに製品化した「フマキラー ボウフラ退治」を発売。さらに蚊の対策啓発ポスターをJR原宿駅構内などに設置するなどし、キャンプなどのレジャー時や日常生活での注意を喚起している。

 このように害虫への危機感が高まる一方、家庭内で強い薬剤を使用することへの抵抗感もまた増大している。そうした不安に応え、アース製薬では2016年3月1日に、日本初(2015年12月、同社調べ)となる天然ハーブ(天然ハッカ油)を有効成分とした防除用医薬部外品のゴキブリ忌避剤「天然ハーブのゴキブリよけ」を発売した。※

 今、防虫商品にはいったいどのようなことが求められ、どのように進化をとげているのか。また安全性は十分に担保されているのか。フマキラーとアース製薬の最新商品からひも解いてみたい。

デング熱を媒介するヒトスジシマカの分布域。デング熱は2015年、輸入感染者が過去最高の251人に上った(2015年11月20日現在)。資料提供/フマキラー
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マダニが原因となるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)による死亡者は、2013年以降44人に上る(2015年12月2日現在)。どちらも対症療法が中心で、ワクチンも予防薬もないという。資料提供/フマキラー
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2004年発売の「どこでもベープ No.1」を15個分身につけたレベルの虫よけ効果がある(自社試験による、携帯用電池式における虫よけ効果/2015年5月現在)という携帯タイプの電池式虫よけ「どこでもベープ プレミアム」(希望小売価格2400円)
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従来品「フマキラー 虫よけ線香」の3倍(単位重量あたり)の有効成分量を配合した「フマキラー虫よけアロマ線香ジャンボ50巻函入 5色パック」(希望小売価格1500円)
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高機能な薬剤含浸体を採用、さらに薬剤の含浸量と蒸散量を向上させることで、5倍(同社の従来品「虫よけバリア」を5個使用した時と同等)の効力を実現したという「虫よけバリア プレミアム 300日」(希望小売価格1600円)
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アース製薬が2016年3月1日に発売した「ナチュラス 天然ハーブのゴキブリよけ(4個入り)」(参考小売価格698円)。防除用医薬部外品。日本初(2015年2月アース製薬調べ)の天然ハーブ(天然ハッカ油)を有効成分としたゴキブリ忌避剤。引き出しや食器棚の各1段に1~3個置くだけで、効果は開封後、1カ月程度続くという(使用環境により異なる)
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