日差しが強まり、UV(紫外線)対策が気になる季節になってきた。そんななか、男性用UV商品に新たな切り口の商品が登場した。
1アイテムでヒゲそり後や日常のスキンケアに加え、UVケアもできる「オールインワンタイプ」がそれだ。今年、「ニベアメン」(ニベア花王)と「uno」(資生堂)という2つのブランドからこのオールインワンタイプの商品が相次いで発売されたのだ。
背景には、UVケア機能のないオールインワンタイプのスキンケア商品が男性にヒットしたという事情がある。
ある調査で、欧米や中国、韓国、シンガポールなどの東南アジア諸国では男性ビジネスパーソンのスキンケア実施率が8割を超える一方、日本は約5割で最下位だった。「面倒だ」「何を選べばいいのか分からない」というのが大きな理由だという。この状況を打破すべく発売されたオールインワンタイプのスキンケア商品は、“これ一つでスキンケアが完了”という手軽さが幅広い年齢層に支持された。国内でもスキンケアへの機運が高まったところで、次の一手としてUVケアを打ち出した形だ。
男性のUVケアというと、ゴルフなどのスポーツ時や海や山などアウトドア時だけの非日常使いになりがち。しかし、日常生活でも紫外線には晒されるし、快晴時より曇りの日のほうが紫外線量が多いこともある。「紫外線対策は日常生活でも不可欠」(ニベア花王)というわけだ。
ニベアメンは老化を自覚し始める30~40代に
ともにオールインワン商品で販売実績を持つニベアメンと資生堂unoだが、アプローチは異なる。
ニベア花王の男性用ブランド「ニベアメン」は、2018年4月に「オイルコントロールローションUV」を発売した。ニベアメンのメンズスキンケア市場における売り上げは、2015年から3年連続でナンバーワン。毎年約10%ずつ伸長しており、「国内でのスキンケア意識の高まりを感じる」(ニベア花王シニアマーケターの松倉申之助氏)。
主なユーザーは30代以降で、特に30代後半に「テカリやシミ、シワなど年齢による体の変化を感じやすい」(松倉氏)と言い、老化を自覚し始めた年代に訴求する。テカリやベタつきに気づき慌ててケアする、というCMを見て危機感を覚えた人もいるだろう。
ニベアメンは、悩み別に商品をシリーズ化しているのが特徴だ。今回発売された「オイルコントロールローションUV」は、テカリ・ベタつきが特に気になる人に向けた「オイルコントロールシリーズ」に属する。
2013年にカサつきが気になる人向けの「スキンコンディショナーシリーズ」からUV対策をプラスしたオールインワンタイプを発売したが、乳液タイプだったため「ベタベタするのが気になる」「もっとさっぱりした使用感にしてほしい」という要望が多かったという。 そこで化粧水タイプでデイリーに使いやすい軽い使用感にした。
資生堂は若い男性ビジネスパーソンにスキンケア啓発
unoは2016年にブランドをリニューアル。メインターゲットを20~30代の男性ビジネスパーソンに設定し、スキンケアの重要性を啓発する活動も同時にスタートした。「調査で20代男性の半数以上がスキンケアへの関心を持っていることが分かった」(資生堂)ためだという。
リニューアルに伴って発売した11種類のスキンケア商品の中で最大のヒットとなったのが、5つの機能(化粧水、乳液、美容液、クリーム、マスク)を持つオールインワンタイプ「クリームパーフェクション」だった。スキンケア入門者でも抵抗なく手を取りやすいように、ワックスのようなデザインのワンタッチボトルを採用。発売から1年半で出荷数は120万個を突破した。この商品がけん引し、2018年4月にはunoブランドがメンズスキンケア市場でニベアメンに次ぐ2位に浮上したという。
そのオールインワンタイプのヒットを受けて誕生したのが、UVケア機能をプラスした「UVパーフェクションジェル」だ。「肌に興味がわき、さらなる機能性を求めたときを想定して開発した。あくまでひと塗りで完了するオールインワンの機能をアップすることを重視した」(資生堂unoブランドマネジャーの川畑麻美氏)。
UVパーフェクションジェルはニベアメンと同様、暑い時期に使用することを考慮し、ベタつきを抑えることを重視。ジェル状で塗るとすぐに肌になじむサラッとした仕上がり。メントール配合で爽快感も得られる。シミの予防が期待できるというMトラネキサム酸も入っている。発売2カ月で出荷数は40万個を突破しているという。
男性のUVケアを日常化させようというニベア花王と資生堂の挑戦。出足は好調のようだが、本格的な普及はこれからだろう。
(文/北川聖恵=日経トレンディネット)