この記事は「日経トレンディ」2016年6月号(2016年5月2日発売)を再構成し転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 いくつもの調理家電で成功を収めているメーカーが、シロカ(旧オークセール)だ。

 白物家電の主力ユーザーである女性を意識し、シンプルなデザインと値頃感を訴求。それでいて、大手メーカー製品にない独自機能も備える。創業した2002年当初はネット販売とオークションが主力だったが、後に家電の企画開発を開始。10年に家電メーカーに転身し、税込み5980円のホームベーカリーで成功。その後も電気圧力鍋や全自動コーヒーメーカーなどが売れた。開発部門に大手メーカー出身者が増えたことで、製品の幅も広がっている。

 そのシロカの最新作は扇風機だ。といっても、単なる扇風機ではない。独自形状の4枚羽根を開発し、扇風機とサーキュレーターを1台で兼ねるようにした。最大の特徴が「逆回転モード」。前から空気を吸い込んで背面に風を送ることで、体にじかに当たらないそよ風を起こしたり、室内の空気を循環させたりできる。「風にはじかに当たりたくないが、空気は循環させたいというニーズに応えた」(シロカ)。暖房の利用時に、羽根を真上に向けて逆回転させれば、暖かい空気を足元に送れるのも利点だ。

スイッチ一つで羽根が逆回転。「間接微風」が心地よい
スイッチ一つで羽根が逆回転。「間接微風」が心地よい

 シロカが支持されている理由は、「値ごろ感」と「少人数サイズ」。例えば全自動コーヒーメーカーは、大手メーカー製品が2万円以上で、本体もそれなりに大きい。これに対してシロカはコンパクトで、1万円前後なので購入しやすい。電気圧力鍋も同じ価格帯で、1~3人用と大手メーカー製品と比べて小さいのが特徴になっている。

 商品企画のカギを握るのが、仮想の消費者像である「ペルソナ」の存在。「35歳女性」「マンション暮らし」といった特徴を定め、そこにターゲットを絞り込んで商品開発した。シロカでは、家電のノウハウを持つ人材が大手メーカーから転職してくる事例も増えており、生産工場と連携しながら素早く新製品を投入しやすくなったことも、“勝因”の一つだろう。

 以下ではシロカの製品4つを紹介する。

独自形状の4枚羽根、1台2役で使える扇風機

DCサーキュレーター扇風機 SCS-401 実勢価格1万3820円(税込み)
DCサーキュレーター扇風機 SCS-401 実勢価格1万3820円(税込み)

 1台でサーキュレーターと扇風機の2役を兼ねる。独自形状の4枚羽根を用いたことで、風を広く遠くに届けられるようになった。最大の特徴は「逆回転モード」。前面から風を吸い込んで背面に放出するので、風を直接体に当てずに室内に対流を作れる。使ってみると、自然な空気の動きが心地よかった。真上に向ければサーキュレーターとして冷暖房効率を改善できる。

“ほったらかし”で煮込み料理を簡単に作れる

電気圧力鍋 クックマイスター SPC-101 実勢価格1万3950円(税込み)
電気圧力鍋 クックマイスター SPC-101 実勢価格1万3950円(税込み)

 少人数サイズの電気圧力鍋。8種類の調理をメニューから選べるなど使い勝手がいい。角煮やポトフなどの煮込み料理を短時間でラクに作れた。

ボタン一つで挽きたての味、小型&省スペースが売り

全自動コーヒーメーカー STC-501 実勢価格1万2830円(税込み)
全自動コーヒーメーカー STC-501 実勢価格1万2830円(税込み)

 豆と水をセットするだけで、自動でコーヒーを抽出できる。他のメーカー製と比べて小型で省スペースなのが強み。バリスタによる味の評価も高かった。片付けやすいのも利点。

低価格でも29メニューを用意、パン以外も作れる

ホームベーカリー SHB-712 実勢価格1万3900円(税込み)
ホームベーカリー SHB-712 実勢価格1万3900円(税込み)

 低価格ながら調理メニューが豊富な点が強みのホームベーカリー。米粉パンやピザ生地に加えて、そば生地やチーズなど全29メニューを用意する。パンの焼き色を3段階から選べるのもいい。

(文/コヤマタカヒロ)

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