排気ガス、CO2の排出量規制に対応した開発

 昨今の欧州には排気ガスやCO2の厳しい排出量規制があり、近い将来、気筒数の多い大排気量エンジン採用車が少なくなることは確実。地域によっては販売も難しいだろう。メルセデス・ベンツも電気自動車、プラグインハイブリッド、燃料電池の電動パワートレインに積極的に取り組んではいるが、顧客ニーズやエネルギーのベストミックスを考えるとガソリンやクリーンディーゼルを続けていくことが必要なので、新しいエンジンの開発を行っているという。そのひとつが今回発表されたS450の直列6気筒エンジンというわけだ。

 とはいえ、なぜいったんは生産を止めた直列6気筒エンジンを復活させたのだろうか。

「S450」の直列6気筒エンジンは排気ガス規制に対応すべく開発され、電動化されているのもポイント
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直列6気筒でもコンパクトに

 ひとつには生産効率の向上が挙げられる。新開発した直列4気筒と直列6気筒は同じ組み立てラインで製造できる。前述の通り、同社の主力モデルは直列4気筒エンジンにシフトしており、基本設計を共有化しているので、新開発の直6エンジンは生産性の面で大きなメリットがある選択肢になった。また、他メーカーではV型6気筒エンジンを後輪駆動車と前輪駆動車の両方に搭載しているが、メルセデス・ベンツには現在、横置きのV6エンジン搭載車は存在しないことも要因だ。

新開発6気筒エンジンは、徹底的に効率を追求した基本性能に加え、電動化の組み合わせによりパワーを犠牲とせずに高効率化が図られている
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 もうひとつは、エンジンスペースの有効活用だ。かつての直列6気筒エンジンは全長が長いため横置きしづらく、世の中で主流の前輪駆動車には不向きだった。このためコスト削減や生産効率向上、高性能化など総合的に考えて縦横に自由に搭載できるV6エンジンにシフトしていったのだ。今回、後輪駆動のS450で採用した新しい直6エンジンはコンパクトになり、しかもエンジン回りの設計を変えたことでエンジンルーム内の左右スペースが広がり、熱効率も向上。また縦置き直6の課題とされた衝突安全性能も高まった。

エンジンカバーを外した状態のエンジンルーム。中心にあるのが、エンジン本体で、コンパクト化などの直列6気筒エンジンのデメリットをなくし、熱効率も向上している
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