セブン-イレブン・ジャパンは2017年4月25日から、チルドスイーツを全面リニューアル。全国1万9423店(2017年3月末時点)のセブン-イレブンで順次発売する。
目玉商品は16年ぶりの全面リニューアルとなるシュークリームだ。2001年に発売した「ミルクたっぷり とろりんシュー」(以下、とろりんシュー)はマイナーチェンジを続けながら安定した売れ行きを保っていたが、今回はクリームの原材料や配合を大幅に変え、名前も「THEセブンシュー」(以下、セブンシュー)とした。「スマホを見ながら食べる人を意識し、片手でも食べやすいようにした」と同社は説明する。
逆さにしてもクリームが垂れない!
並べてみる限り、現行のとろりんシューと、新商品のセブンシューの違いはほとんどわからない。しかし、2つに割ってみると、はっきりとした違いが。とろりんシューのカスタードクリームは淡いクリーム色だが、セブンシューは「真っ黄色」だ。
真っ黄色の理由は「卵」にある。今回のリニューアルでは、カスタードに使用する卵を黄味が強くて臭みがない「エグロワイヤル」に変更。見た目にも濃厚そうなカスタードクリームに仕上げた。「片手で食べても中身がこぼれにくい」(同社担当者)というが、実際にちぎった商品を逆さにしても、クリームが下に垂れてくることはなかった。食べてみると、舌触りがなめらかで卵の風味がはっきりしており、クリームはやや硬め。とろりんシューがどちらかというとさっぱりとした味わいで軽く食べられるのに比べると、濃厚で中身がぎっしりと詰まったセブンシューは重たいと感じる人もいるかもしれない。
「シュークリームが食べづらい」という声がきっかけ
これまでシュークリームを大幅にリニューアルしなかった理由について、同社商品本部 FFデイリー部の南田聡美チーフマーチャンダイザーは「とろりんシューの売れ行きが好調だったから」と話す。
しかし、近年はスマホを片手に食べる人も増えており、「とろりんシューはクリームがこぼれて食べにくい」という声が上がったため、商品を見直したという。「クリームをやや硬めにしたことでシュー皮とクリームの間の空洞がなくなり、見た目にもぎっしりクリームが詰まっているので、消費者にも満足してもらえるのでは」(南田チーフマーチャンダイザー)。
大福は専門店の味!
シュークリーム以外の商品も試食したが、筆者の印象に残ったのは「北海道十勝産小豆使用 豆大福」だ。小豆を煮たあとにすぐにあんを練るという従来の工程に、アクを取る「水さらし」という作業を追加。これまでの約3倍の時間をかけてあんを作っている。また、専門店のように餅米を蒸してからきねでついているので、餅にコシがあるのも特徴。あんの味も含めて、和菓子店で売られている大福とほとんど違いがないように感じた。
和菓子、洋菓子だけでなく、両方の要素を取り入れたクリーム白玉ぜんざいや生どら焼きなどの“和洋折衷”菓子も順次発売する。
「地方都市では、ケーキや和菓子の専門店が減っているという話を聞く。全国各地に店舗を持つセブン-イレブンが専門店の役割を担っていけたら」と、南田チーフマーチャンダイザーは話した。
(文/樋口可奈子)