においの種類を当てる検査で病気を早期診断できる

 飯嶋准教授が、同大学病院で10年ほど前からいち早く診療に使用しているのが、「においスティック」(OSIT-J)だ。においスティックは、嗅覚の同定能力(においを嗅いだときに、何のにおいかが分かる能力)を測定することができるもの。

 においの種類は、花、果物、草木のにおいや、生活の中の危険なにおい、不快なにおいなど全12種類。それぞれの嗅素をマイクロカプセル化し、ワセリンなどに混ぜ込んで、リップスティック型に成型している。

「においスティック」は、13本(12種類+無臭1本)のにおい提示器具、選択肢カード、薬包紙のセット。1セット6万円(第一薬品産業)
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 測定方法は簡単だ。検査者は、においスティックを塗布した薬包紙を半分に折って被験者に渡す。被験者は、薬包紙をこすり合わせてマイクロカプセルをつぶしてにおいを発生させ、4つの選択肢・無臭・分からないと書かれたカードから回答する。検査の所要時間は約20分程度。すぐに測定結果が分かることや、においはマイクロカプセル化されているため、周囲に拡散しないことなども特徴だ。

 この検査は耳鼻咽喉科での使用にとどまらず、神経内科でも研究などに利用され始め、においスティックを販売する第一薬品産業によると、現在約400施設で導入され、そのうち神経内科での導入が特に増えているのだという。

 「嗅覚検査は、パーキンソン病のほか、軽度認知症やアルツハイマー型認知症などの神経変性疾患の早期診断や、パーキンソン症候群の鑑別にも有効。現在は保険適用外だが、将来的に保険適用で行われることが望まれる」(飯嶋准教授)

 もし、においを感じづらくなったら、医療機関を早めに受診しよう。自分の嗅覚に意識を向ける習慣を持つようにすると、大きな病気の発見につながる可能性もある。日常で、人に不快感を与えるようなにおいや香りに注意することはもちろん大切だが、嗅覚は健康のバロメーターの一つであるということも、覚えておくとよいかもしれない。

(文/小口梨乃)