科学的に実証されたマインドフルネス

 最近、書店の「ビジネス」や「ストレス」などのコーナーで、よく見かけるキーワードがある。「マインドフルネス(Mindfulness)」だ。瞑想を通して行う「こころのトレーニング」とも呼ばれ、グーグル、インテル、アップルなど名だたるIT企業の研修プログラムに導入されていることでも知られている。

 そもそも仏教の瞑想を源流とするマインドフルネスは、1970年代の米国で、慢性疼痛に対する緩和ケアとして実施され効果を上げたことから、科学的実証による効果が広く知られるようになった。これをきっかけにまず医療分野で発展を遂げ、今では妊婦の出産時のストレスケアやなど、さまざまなストレス対処法として取り入れられている。その後、ビジネスや教育、スポーツなど、医療以外の分野にも裾野を広げ、日常生活のなかでマインドフルネスを実践する人も増えている。

 日本で広く知られるようになったのは2012年頃。1970年代に慢性疼痛の緩和ケアにマインドフルネスを取り入れ、科学的アプローチでその効果を実証したマサチューセッツ大学医学部名誉教授のジョン・カバットジン博士が来日したことで、専門家の間で拡がりをみせ、2015年頃から一般にも知られるようになった。その後、2017年にはNHK Eテレで「はじめてのマインドフルネス」という講座番組が登場するなど、ますます身近な存在になっている。

 こうしてさまざまな分野でマインドフルネスが実践され、効果を上げるなか、ビジネスパーソンにも向く「ストレスケア」に主眼を置いたマインドフルネスを紹介しているのが、「マインドフルネス&ヨーガネットワーク」の代表で、「日本マインドフルネス学会」の理事も務める山口伊久子さんだ。

「マインドフルネス瞑想は、今この瞬間に起こっていることを評価をせずに気づいていること、瞑想を通して心身に意識を向けて、今この現実をありのままに観察して……寄り添っていく。そんな知恵を、マインドフルネスの実践を通して学んでいきます」

 その実践の場のひとつ、山口さんが主宰する「土曜マインドフルネス会」を、日経トレンディネットの編集部長と記者が体験した。いったいどんな体験ができたのか?

山口伊久子(やまぐちいくこ)
氏名マインドフルネス&ヨーガネットワーク主宰。日本マインドフルネス学会 理事/事務局長。MBCT(マインドフルネス認知療法)やMBSR(マインドフルネス・ストレス低減法)をベースとした「マインドフルネス瞑想」およびマインドフルネスの考えとヨガを融合させた「マインドフルネス・ヨガ」の指導を行う。セルフケアとしてマインドフルネスを日常に生かす為の実践法、MPFL(Mindfulness Practice For Life)を提唱。著書に『「今、この瞬間」を生きる喜び マインドフルネス瞑想・ヨガ』(日本文芸社)『「動じないこころ」を育てる マインドフルネスヨガ』(池田書店)がある