スマホ内の写真を、いつでもどこででも手軽に印刷できる画期的な小型「プリンター」が誕生した。タカラトミーの「プリントス」だ。2017年12月13日に発売以来、品切れ続出で今なお品薄状態が続いている。
使い方は極めて簡単。付属のフレームを、写真を表示したスマホに取り付けてプリントス本体に載せる。その後、プリントスのシャッターボタンを押し、つまみを回すだけで表示画面を写し取った写真が出てくる。
驚くのは、印刷に電池やインクが不要なことだ。アナログカメラのような構造で、単焦点レンズでスマホ画面を撮影する仕組み。シャッター開閉とフィルム排出を手動で行うため、電池は使わない。
一般的な携帯プリンターと違い、Wi-Fiやブルートゥースでつなぐ手間がいらず、専用アプリも不要だ。インスタグラムやフーディーといったアプリで加工した写真をそのまま印刷できる。
フィルムは、汎用のインスタントカメラ「チェキ」用のものを使用。買いやすいのもポイントだ。
思い出を共有する点で、出力することには意味がある
タカラトミーの新規事業部 ニュートイ企画部 企画開発課 課長の土肥雅浩氏は「スマホが1人に1台の時代になり、大量の写真がその中に眠っている。デジタル写真は、ネットで気軽にシェアできるようになったが、従来のような紙焼きの写真という『形』があるものをプレゼントし合うことでコミュニケーションのきっかけになり、より盛り上がると考えた。思い出を共有するという点で、出力することには意味がある。何枚でも同じ写真を刷れる『焼き増し』が簡単にできるので、かつてのアナログ写真時代のように、みんなに配って楽しんでもらいたい」と製品開発の狙いを語る。
画質は、インスタントフィルムを使うため、緻密な画像というよりはトイカメラで撮ったような味のある写真になる。スマホの画面輝度によって仕上がりの明るさが変わるため、狙った明るさに印刷するには慣れが必要。だが、どんなものが出てくるのかというワクワク感も魅力に思えた。シャッターボタンを押した後、フィルムを出さずに画面を変えてもう一度撮れば、「2重露光」が可能。アーティスティックな作品も作れそうだ。
スマホによっては、画面サイズが足りない場合もある。専用フレームの枠の大きさは46×62mmで、4.7型のiPhone 7や8ならカバーでき、画面の上下が多少切れる範囲になる。より小さいSEでは、画面の幅が不足していた。
スマホと接続できるモバイルプリンターの価格は1万円以上、チェキでも1万円弱はする。対してプリントスは税込み4000円程度と、コスパはとても高い。
(文/日経トレンディ編集部)
※日経トレンディ2018年2月号の記事を再構成