看板メニューの豚骨野郎などを月額8600円(税別)で毎日1杯食べられるコースと、味玉(100円)や麺増し(150円)などのトッピングを月額300円で毎回1つ注文できるコースがある
看板メニューの豚骨野郎などを月額8600円(税別)で毎日1杯食べられるコースと、味玉(100円)や麺増し(150円)などのトッピングを月額300円で毎回1つ注文できるコースがある

 ビデオや音楽などのネットサービスに多い「月額○○し放題」を売りにした定額プランが実店舗にも広がっている。集客力アップや固定客の獲得を目的としたもので、うまく使えばお得なサービスと利用いえる。

 月額8600円(税別)で、野菜山盛り、豚骨スープのガッツリ系ラーメンが1日1杯、毎日食べられる。こんな魅惑の定額プランを打ち出したのは、フードリヴァンプが首都圏で15店展開する「野郎ラーメン」だ。

 同店のアプリで定額プランに登録すれば、全店で使える。対象は、主力の「豚骨野郎」(税込み780円)、「汁無し野郎」(同830円)、「味噌野郎」(同880円)の3種。豚骨野郎なら12杯(同9360円)、つまり週3回のペースで食べれば月額料金の元が取れる。「ラーメン店にとって、週3回も来てくれる人はかなりの常連客。食べ盛りの学生や会社員からの反響が大きく、ほぼ毎日来てくれる人もいる」(フードリヴァンプ)という。

新橋駅前店。濃厚スープで、山盛りの野菜、厚めのチャーシューが載ったガッツリ系
新橋駅前店。濃厚スープで、山盛りの野菜、厚めのチャーシューが載ったガッツリ系
1日1杯野郎ラーメン生活の会員は麺なしオーダーも可能。ライスを追加すれば簡易定食に
1日1杯野郎ラーメン生活の会員は麺なしオーダーも可能。ライスを追加すれば簡易定食に

 1カ月すべて通うと、1杯当たりは破格の約280円。そんな皮算用も成り立つが、現実はそう甘くなかった。何日連続で豚骨野郎を食べられるか挑戦したところ、パンチのあるスープに1杯170gの麺、300gの野菜が盛られたラーメンの威力に負け、4日目にあえなく挫折した。ただ、間隔を空けて週3回ペースなら達成できる実感はある。さらに、定額プランでは「麺なし」の注文も可能。時折、1杯120円の半ライスを付けた「野菜スープ定食」にすれば、より回数を重ねられ、得になるだろう。

西新宿のオフィス街近くにある「coffee mafia」。飲食スペースもあり、定額会員のランチ需要なども捉える
西新宿のオフィス街近くにある「coffee mafia」。飲食スペースもあり、定額会員のランチ需要なども捉える

 東京・西新宿のカフェ「coffee mafia」(運営会社:favy)は、月額2000円(税込み)で通常1杯200円のドリップコーヒーが1日何度でも飲み放題になる。提供サイズは、コンビニコーヒーなら「Sサイズ」相当。「しっかり」と「あっさり」の2種がある。「会員は月平均で19杯注文している」(高梨巧社長)といい、コンビニコーヒーと同等の約100円で飲んでいることになる。


ライブはサイトから予約
ライブはサイトから予約

 エンタメ系では、月額1600円(税別)の「ソナーユー」(運営会社:アクトコール)がある。全国130以上のライブハウスの指定イベントが行き放題になるサービス。通常ライブハウスの入場料は2500円程度なので、たった月1回行くだけで元が取れてしまう。

 参加できるライブはインディーズのアーティストが中心。なかには、元ジャニーズJr.の双子が所属する男性グループ「クラスター」や、ライブ配信サービス「SHOWROOM」などでも活躍する「みぃぽむ」のように、次世代の注目株のライブもある。音楽ジャンルはアイドル系やロックなど幅広く、自分の「推し」を発掘するのも楽しみだ。

 そこで面白いのは、会員が月に1組のアーティストを「サポート」できる仕組み。登録すると、月額料金の一部が好きなアーティストに還元される。例えば、2000人のサポートを集めると、アーティストは月104万円もの収入を得られるという。「推しの女性アーティストを応援しようと、30~40代の男性会員も多い」(アクトコール)。18年1月からは、好きなアーティストを支援することでトーナメント突破を後押しできる、参加型の音楽イベント「OTONOVA(オトノバ)」を開催中だ。

NEONはiOSアプリの他、ウェブブラウザーでも利用可能。主に20~30代の男性に人気のサービスだ
NEONはiOSアプリの他、ウェブブラウザーでも利用可能。主に20~30代の男性に人気のサービスだ

 月額3900円(税別)の「NEON」(運営会社3.0)は、東京・六本木の「SIX TOKYO」や「ESPRIT TOKYO」、青山の「fai aoyama」など、都内14店のナイトクラブが行き放題になるサービス。1日何軒でもはしごできるため、すぐに元が取れる。使い方は、アプリなどで直近7日間のイベント一覧から予約し、発行された電子チケットをクラブの入り口で提示するだけだ。仕事帰りに満喫したい。


(文/日経トレンディ編集部)

※日経トレンディ2018年2月号の記事を再構成

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