2017年3月15日、JR目黒駅の駅ビル「アトレ目黒1・B館」にフラワーショップ「WONDER FLOWER」1号店がオープンした。

アトレ目黒1・B館の正面入り口横にオープンした「WONDER FLOWER」1号店
アトレ目黒1・B館の正面入り口横にオープンした「WONDER FLOWER」1号店
オープン当日はカスミソウと、オリジナルのフラワークラッチ(有料100円)が配られていた
オープン当日はカスミソウと、オリジナルのフラワークラッチ(有料100円)が配られていた
切り花は小さな束になっていて手に取りやすい
切り花は小さな束になっていて手に取りやすい

 WONDER FLOWERとは日比谷花壇の新業態で、「花のある暮らしをつくる楽しみ」がテーマ。自らを「フラワーDIYスタンド」と称し、店内の「フィッティングスペース」で生花と花器を組み合わせ、自宅で飾ったときのイメージが確認できる、という新しい提案をしている。

 生花の価格は店内均一で(一部例外あり)、1束399円、2束750円、3束1000円。「ギフト用ではなく、あくまでも自分自身が家で楽しむためにふらりと寄って買っていくことを想定しています」(日比谷花壇広報室の横井理恵室長)

生花の価格は店内均一(一部例外あり)。1束399円、2束750円、3束1000円
生花の価格は店内均一(一部例外あり)。1束399円、2束750円、3束1000円
さまざまなタイプの花器もそろえている
さまざまなタイプの花器もそろえている

サービスは省略、トッピング形式で選ぶシステムに

 WONDER FLOWERでは多くの生花店で行っている、切り花の根元に保水のためのペーパーやアルミホイルを巻くというサービスを省いた。「サービスを省いたぶん、価格を抑えることを徹底し、花を日常の中に気兼ねなく取り入れていただけたらと考えています」(横井室長)。保水ゼリーとホイルを巻く場合は100円、ラッピング(クラフト紙、リボン、保水ゼリー、ホイル)でギフト仕様にしたいときは300円を別途支払う、というスタイル。つまり“素うどん”ならぬ“素フラワー”で、必要であればどんどんトッピングしていく、ということだ。

持ち帰り用のフラワークラッチ。長い切り花用は枝が出るように作られている
持ち帰り用のフラワークラッチ。長い切り花用は枝が出るように作られている

 店内は7坪。決して広くはない。ただし、「フランスのフラワーショップのようにふらりと立ち寄って花を買い、そのまま自宅に持ち帰る」というフラワースタンド的コンセプトであれば十分な広さともいえる。問題は価格にお得感を感じないこと。「1束399円で低価格」とうたうのであれば、もう少しボリュームが欲しい。またはもう少し価格を下げてほしい、というのが花好きである筆者の第一印象。そのあたりを日比谷花壇の宮嶋浩彰社長に聞いてみた。

店内は7坪。切り花のほかに枝物も少し置かれている
店内は7坪。切り花のほかに枝物も少し置かれている

 「WONDER FLOWERは日比谷花壇の運営ということを伏せていますが、実際の仕入れは日比谷花壇と同じで生花の品質には自信があります。きちんと水揚げ(切り口を整えて水分を吸い上げやすくする処理)されており、安売りされている店のものと比べて花持ちが違います。花を購入される場合、気になるのは花持ちの期間。長く持ち、それが目に見えるというのはお客様にとって非常に大事なことだと思うのです。さらに『日持ち保証販売』といって、生花購入後5日以内に枯れた場合、代わりの生花と交換する制度を採用します」(宮嶋社長)

日比谷花壇の宮嶋浩彰社長
日比谷花壇の宮嶋浩彰社長

 たしかに買うときに「長く持つかどうか」は非常に気になる要素だ。自宅用として買うときに「ここで買う花はいつも長持ちする」となれば、それは強い購買動機となる。

2020年までに全国20店舗を目指す

 もう一つの提案として、実際に花器に入れてどのように飾るか、また、自分でギフト用にラッピングをすることもできるフィッティングスペースというものを設けているが、このスペースは非常に小さく、場所もレジの後ろという微妙な位置にあるのが少し残念だ。ショップで、自らフラワーアレンジやギフト用のラッピングをじっくりできるというDIYギフトを想定していくと、少し違和感があるかもしれない。このスペースについて宮嶋社長は、「まだ試験段階。今後改良していく」と話していた。

レジ後ろにあるフィッティングスペース。宮嶋社長いわく、「今後改良する予定」とのことだ
レジ後ろにあるフィッティングスペース。宮嶋社長いわく、「今後改良する予定」とのことだ

 WONDER FLOWERは、アトレ目黒に続き、「2017年、2018年は首都圏を中心に数店舗、2020年までに全国20店舗の展開を目指している」(横井室長)という。4路線で1日66万5千人の乗降客数のある目黒駅。「駅は街の顔であり、そのフロントに位置するこのWONDER FLOWERからも文化を発信していければ。いずれは花と衣・食など、ライフスタイル関連のコラボもしていきたい」と宮嶋社長はいう。生花販売の老舗でありトップリーダーが仕掛ける新業態はまだ始まったばかり。自宅用の需要が定着するのか、ふらりと立ち寄って楽しむショップとして成熟していくのか、今後の提案に期待したい。

(文/三井三奈子 写真/稲垣純也)

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