梅干しは健康食品として、多くの日本人に愛されてきた。そんな梅干しが、今、美容の観点から熱い注目を集めている。「焼き梅干しでダイエット」という新たな効能が見出されたからだ。その一方で、減塩志向から、中高年に敬遠される傾向もみられる。日本の食文化を代表する「梅干し」は、今後も発展するのか、あるいは、衰退してしまうのか。その将来性について、探ってみた。

 2017年3月11日、梅の生産量日本一の和歌山県みなべ町では「梅の機能性に関する研究報告」が開催された。同町から機能性研究を委嘱された筑波大学医学医療系、和歌山県立医科大学、和歌山工業高等専門学校の3つ研究チームが成果を報告した。

 和歌山県立医科大学のチームは、従来経験的に知られていた「夏バテ予防」に対する効果を実験的に検証した。筑波大チームは、梅干しの運動能力の向上および骨格筋機能の維持効果について報告した。和歌山工業高等専門学校のチームは、梅が含む成分で抗肥満活性効果を持つバニリンとシリンジアルデヒドについて報告した。

和歌山県みなべ町でひらかれた梅の機能性に関する研究報告会
[画像のクリックで拡大表示]

テレビ放送を機にダイエット効果に注目が集まる

 今回の研究発表で、梅干しが抗肥満活性効果のあるバニリンを豊富に含んでいること、脂肪細胞の活性化を抑制する効果を持つことなどが検証されたが、梅干しのダイエット効果については、昨年来、複数のテレビ番組が先行して取りあげたことで既に注目が集まっていた。日本テレビ「解決!ナイナイアンサー」の「最新ラクやせダイエット」(2016年5月10日放送)や、TBS「林先生が驚く初耳学!」の「梅干しを焼いて食べるとダイエット効果」(同年11月13日放送)などが「梅干しに含まれるバニリンに刺激された脂肪細胞が燃焼し、小さくなることが期待される」と伝えたのだ。

 「梅干しが健康にいいというのは、昔から広く知られていましたが、美容にもいいということにはつながっていなかった」と和歌山県みなべ町の小谷芳正町長。「去年、テレビの影響で『焼き梅』がヒットしたとき、町内の梅干し屋が毎晩残業しなければならないくらい忙しかった。単価も4割上がりました」という。

 さらに、梅干しに含まれているバニリングルコシドに熱を加えるとバニリンに変わり、総量が増えるため、「焼き梅」として梅干しを焼いて食べたり、梅干しをレンジで温めて食べたりするダイエット方法が一躍、大人気となったのである。

みなべ町の小谷芳正町長
[画像のクリックで拡大表示]