2016年のリオデジャネイロ五輪、カヌースラローム男子で見事銅メダリストとなった“ハネタク”こと羽根田卓也選手。オリンピック前は知名度が低かった競技だが、彼の登場で一躍脚光を浴び、スロバキアを拠点に活動を続ける羽根田選手のスタイルにも注目が集まった。

 もちろん、飄々とした佇まいとチャーミングな笑顔も大きな魅力だが、マイナー競技で、しかも異国の地で、ひとりで戦うのは並大抵のことではない。彼がどんな意志でカヌーを続け、努力してきたのか。そして、2020年の東京オリンピックに向けての思いとは──。グローバルに活躍の場を広げる“今旬の人”に、フリーアナウンサーの丁野奈都子が直撃インタビューする。

銅メダルも見せてくれた羽根田卓也選手(左)、丁野奈都子(右)が世界で戦う秘訣をインタビューしました
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ぶっつけ本番で臨機応変に対応する「スラローム」

丁野奈都子(以下、丁野): 昨年、リオ・オリンピックで銅メダルを取られてから、羽根田さんの周囲には実にいろいろな変化があったのではないでしょうか?

羽根田選手: 一番の大きな変化は、僕自身というより、カヌー競技そのものの認知度が大きく上がったことです。テレビのバラエティー番組も多くの人にカヌー競技を知ってもらえる機会です。例えば柔道選手が出演しなくても、競技の認知度に大きな影響はないでしょうが、カヌーは、僕が出るか出ないかで、世間の反応が違うマイナー競技ですから。

丁野: 羽根田さんのご活躍で、競技としてのカヌーを知った方もいらっしゃると思うので、改めて教えていただきたいのですが、羽根田さんがメダルを取られた「カヌースラローム男子カナディアンシングル」は、どういった種目なんですか?

羽根田選手: まず、カヌーには大きく分けて「カヤック」と「カナディアン」の2部門があります。「カヤック」では足を伸ばした長座の姿勢で座り、両端にブレード(水かき)が付いたパドルで進みますが、「カナディアン」で使用するパドルのブレードは片側のみ。座り方もカヤックとは異なり、正座です。そして、僕がやっている「スラローム」という種目は、流れの速いコースにいくつも吊るされたゲートを通過する技術と、所要時間の両方を競い合うものです。

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プロフィール
1987年、愛知生まれ。高校卒業と同時にスロバキアに単身で渡り、現地の大学に拠点を置いて強化を図る。北京五輪14位・ロンドン五輪7位入賞という結果を経て、リオデジャネイロ五輪では銅メダルを獲得、アジア初のカヌー競技でのメダル獲得となった。2020年東京五輪での連続メダル獲得を目指して、引き続きスロバキアで強化を続ける。ミキハウス所属。



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丁野: あのゲートは不規則に吊るされているようですが、試合の何日前に設置されるものなんですか?

羽根田選手: 前日です。試合本番のゲートの位置では練習できないんです。前日に自分の目で確認して「こういう風に通ろう」とイメージして、あとは当日のぶっつけ本番。イメージ通りに行かないほうが多いですよ。風が吹いてゲートの位置が少し揺れるだけでもライン取りは大きく違ってきますし。とにかく、いかに臨機応変に反応していくかが勝負ですね。