立春を過ぎてもまだまだ肌感覚としては寒さのまっただなか。街中ではダウンジャケットに身を包んだ人がまだ多い。

 ダウンは軽くて温かく、脱げば小さく収納できて荷物になりにくいので重宝するアイテムだが、弱点もある。それは、汗や雨にぬれるとロフト(かさ)が保てなくなり、保温性が低下してしまう点だ。とはいえ、街中で着る分には雨雪にぬれ続けることはそうないだろうし、保温性が下がったところで命の危機に直結することは考えにくい。

 しかし舞台が山となれば、話は別。万が一ダウンをぬらしてしまって保温性が得られなくなれば、街中のようにすぐに暖かい建物に避難できるわけではないし、ぬれたダウンは簡単には乾かない。過酷な環境の中で体温が下がれば命に関わってくる。この季節は特にだ。

 そこで活躍するのが、化繊綿(かせんわた/化学繊維綿)の存在。“中綿ジャケット”という言葉を聞いたことがある人は多いと思うが、これはポリエステルなどの化繊綿が詰まったジャケットのこと。化繊はぬれに強く、比較的安価というメリットがあるが、ダウンと比べるとかさばり、保温性が劣るといったデメリットもある。

 しかしここ最近、「パタゴニア」や「ザ・ノース・フェイス」などのアウトドアブランドが自社で優れた化繊綿を開発し、製品化する傾向が強まってきている。ぬれに強く、乾きも早く、なおかつかさばりにくい。これまで培ってきた経験と高い技術をもっているアウトドアブランドだからこそ実現できる、“ハイテク”化繊綿が次々に登場しているのだ。

 そこで今回は今、注目されている「化繊綿ウエアの進化」にフォーカスし、各アウトドアブランドが自社開発している化繊綿の特徴や製品について、開発秘話を含めて紹介する。