この記事は「日経Gooday(グッデイ)」で2016年7月29日に掲載された「脳科学から「怒り」のメカニズムに迫る! カチンと来ても6秒待つと怒りが鎮まるワケ」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。

 現代社会はストレスがいっぱいだ。物事が思い通りにいかないとつい怒ってしまい、後で怒った自分に落ち込む。「こんな悪いサイクルから脱したい」――そう思っている人は多いだろう。そこで特集では、「怒り」を上手にマネジメントする方法を紹介する。
 今回は、ヒトの体と脳の働きを研究している自然科学研究機構生理学研究所の教授で、医学博士の柿木隆介さんに、怒りと脳の関係について話を聞いていく。

「怒り」は脳でつくられる

「怒り」を感じたとき、脳の中では何が起こっているのだろうか。そのメカニズムを知り、脳科学の観点から怒りの感情を抑える方法を見ていこう ((C)PaylessImages -123rf)

 私たちが何かにイライラしたり、誰かにカチンときたりしたとき、「怒り」の感情が生まれるのは「脳」の中だ。

 怒りの感情とは、脳の中のどこでどのように発生するのだろうか。そしてその仕組みを知ることで、脳科学の観点から怒りをコントロールする方法は考えられないだろうか。特集の後半では、「怒りを感じたとき脳内では何が起こっているのか」のメカニズムを明らかにして、脳科学の観点から対処法を考えていく。

 「脳の仕組みと怒り発生のメカニズムを知ることで、怒りやイライラをを抑えやすくなります。脳科学の観点から、怒りを抑えたりコントロールするのに適した方法も見えてきます」

 そう話してくれたのは、ヒトの体と脳の働きを研究している自然科学研究機構生理学研究所の教授で、医学博士の柿木隆介さん。脳研究のトップランナーの1人で、『どうでもいいことで悩まない技術』(文響社)、『記憶力の脳科学』(大和書房)など脳科学の視点から日々の生活に役立つ手法を紹介した本も数多く手掛けている。

 「怒りやイライラ、ちょっとしたことで悩むといった感情に対して、『気の持ちようが大切!』といった精神論で語られがちですが、脳やカラダの仕組みから考え、その上でどう行動に移して、考え方を変えて行くべきかが大切です」

柿木隆介さん。自然科学研究機構 生理学研究所教授。日本内科学会認定医、日本神経学会専門医。専門は神経科学。著書に『どうでもいいことで悩まない技術』(文響社)、『記憶力の脳科学』(大和書房)など。
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 「人間の脳はとてもよくできていて、理由や理屈がわかると『納得できる』『安心できる」という冷静で知的な機能を持っています。そして、日々の習慣によって“クセ”が変わっていき、感情を揺さぶられるような出来事に対しても耐性がついていきます。つまり、トレーニングを積むことで、感情をある程度コントロールできるようになるのです」(柿木さん)