この記事は「日経Gooday(グッデイ)」で2016年10月19日に掲載された「“カラオケで気分スッキリ”には科学的根拠があった!」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。

聞きたかったけど、聞けなかった…。知ってるようで、知らなかった…。日常的な生活シーンにある「カラダの反応・仕組み」に関する謎について、真面目にかつ楽しく解説する連載コラム。酒席のうんちくネタに使うもよし、子どもからの素朴な質問に備えるもよし。人生の極上の“からだ知恵録”をお届けしよう。

歌うと気分がスッキリするのはどうして?((C)Shojiro Ishihara-123RF)

 最近は「ひとりカラオケ」を楽しむ人も増えてきた。カラオケボックスは他の客の目が気にならないので、「ひとり焼肉」や「ひとりフレンチ」に比べてずっとハードルが低い。みんなに自分の歌を「聞かせたい」人にとっては空しくても、単に「大きな声で歌っていい気持ちになりたい」人にはうってつけ、ということだろう。

 それにしても、どうしてカラオケは気持ちがいいのだろう? ストレスが発散されるというのは経験的に分かるが、エビデンス(科学的根拠)はあるのだろうか?

 「ええ、カラオケには確かにストレス解消効果があるんですよ」と話し始めたのは、第一興商と共同で「歌の健康効果」を調べた鶴見大学歯学部教授の斎藤一郎さんだ。

カラオケの後はストレスホルモンが減少する

 実験に参加したのは60歳以上の高齢者44人。好きな曲を3曲歌ってもらい、その前後で唾液の量、唾液に含まれる「コルチゾール」の量、気分の変化を調べたという。

 なお、コルチゾールとは腎臓の上の副腎の周りにある「副腎皮質」から分泌されるホルモン。心身がストレスを感じると分泌され、ストレスから体を守ってくれる。ストレスホルモンとも呼ばれ、体が感じているストレスの指標とされる。

 コルチゾールは本来、体をストレスから守るために分泌されるのだが、ストレスが強くて長時間分泌され続けると、いろいろと弊害も起こってくる。副腎に負担がかかることで免疫力が低下し、眠りを促すセロトニンやメラトニンといったホルモンの分泌が抑えられて不眠を招く。また、コルチゾールにはインスリンの働きを弱める作用もあり、血糖値を上昇させてしまう。「ストレスは万病の元」と言われるのも納得だ。