この記事は「日経Gooday(グッデイ)」で2016年8月16日に掲載された「実は地道な努力の賜物! オリンピック選手が実践する大一番で心を落ち着かせる方法」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。

 「これから重要な商談だ。なんとしても失敗するわけにはいかない!」。踏ん張りどころだと思って気合いを入れれば入れるほど、緊張が高まりすぎてパフォーマンスが落ちてしまう……。そんな経験はないだろうか。過度な緊張は、冷静さを欠如させ注意力を散漫にしてしまう。オリンピックに出場するスポーツ選手やプロのスポーツ選手たちは、そうしたプレッシャーをどのようにはねのけ、平常心を保っているのだろうか。ビジネスパーソンがそこから学べることはないか。
 今回は、心を落ち着けてピンチを回避させてくれる“リラクセーション”のテクニックを、スポーツ選手に向けてメンタルトレーニングを行う東海大学体育学部教授の高妻容一さんに教えていただく。

プレッシャーから心を解放する“リラクセーション”

オリンピックに出場する選手たちは、プレッシャーをどのようにはねのけ、平常心を保っているのか(©Joop Hoek 123-rf)

 頭の中が不安や迷いでいっぱいになり、体がこわばって呼吸が乱れたり、行動に落ち着きがなくなったりする。周囲からの期待や責任を背負い、緊張にさらされることの多いビジネスパーソンなら、誰もが経験したことがある生理現象だろう。

 ましてや、多くの人の期待を背負って闘うオリンピックやプロのスポーツ選手の、試合直前の緊張たるや、想像を絶する。

 「どんなに技術の高い選手でも、それだけでは『ここぞ!』というときに緊張してしまう心の働きにはなかなかあらがえない。とはいえ、体や行動にこのようなマイナスの変化が出ていては、思うように力を発揮できないのは当然です」(東海大学体育学部教授の高妻容一さん)。

 そこで高妻さんは、スポーツ選手やチームのために、緊張をゆるめて理想的なコンディションを取り戻すためのリラクセーションプログラムを構築した。メンタルトレーニングを始めて半年~1年の選手(チーム)なら、このプログラムを毎日20~30分かけて実践すれば、同じプログラムを試合の前にも実行することで、平常心を取り戻し、いつでもどこでもリラックスができるという。

 「同様のトレーニングは、米国のほとんどのオリンピックチームが取り入れているほか、大リーグ(プロ野球)、NBA(プロバスケットボール)、NFL(プロアメリカンフットボール)、NHL(プロアイスホッケー)でも実施しています。錦織圭選手の所属するIMGアカデミーでも、小学生・中学生・高校生が週に1回ほどの頻度でメンタルトレーニングを行っています」と高妻さんも話すこのプログラム。まずは「百聞は一見にしかず」ということで、どんなものか見てみよう。