古典的なツーリング用自転車をレトロフューチャーに

フレームのシートステー部と泥よけが一体になったようなディテール。泥よけは専用に作られたもので、普通の泥よけと同じように着脱することができる
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 数ある日本のビルダーのなかで、海外からも注目される存在が東京都町田市に工房を構える、ケルビム(今野製作所)である。今野真一社長は、創業者そして父である仁氏の後を継いで工房を切り盛りする二代目だ。その高い技術力は競輪界を代表する選手である神山雄一郎選手がケルビムの自転車を使用していることからも折り紙付きだが、近年はあっと驚くような独創的なショーモデルを発表して話題を集めている。

 今年のハンドメイドバイシクル展に出展されていたのは「レーサー・スポルティーフ」と名付けられたモデル。古典的なツーリング用の自転車であるスポルティーフ(ロードバイクと同じ700cホイールを採用したツーリング車)に、ディスクブレーキやフレーム一体式のシートポスト(サドルを支持する棒の部分)を採用するなど、ケルビム流にアレンジしたものだ。

 今野氏はレトロフューチャー、つまり「昔の人が考えた未来の姿カタチ」をイメージして設計を行ったという。レトロフューチャーデザインといえば強い流線形が特徴の一つだが、自転車は「面」が少ないためそれを表現するのには工夫がいる。このバイクはまるでフレームとつながっているような泥よけのデザインでそれを表現。タイヤとのクリアランスも極限まで詰めることで一体感を強調している。1950年代の米国車、あるいは戦前のフランス車を思わせるディテールだ。

車輪が優美なフェンダーですっぽりと覆われていた往年の米国車やフランス車を連想させる
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