私は1978年生まれの39歳だが、このところは新しいものより、子どものころに憧れた、または夢中になったコトやモノのほうに関心がいってしまう。「ミニ四駆」のリバ イバルブームに象徴されるように、自分たちの世代もいよいよ過去を振り返る年齢になってしまったということだろうか。世の中的にもいわゆる団塊ジュニア(1970年代前半生まれ)、ポスト団塊ジュニア(1970年代後半生まれ)世代の流行商品が“懐かしホビー”としてメディアに取り上げられることが多くなったように思う。

 この世代の“懐かしホビー”の頂点といえば、何といってもクルマだろう。1980年代後半から1990年代にかけては、日本車の黄金期だったからだ。輸出拡大などを機に急成長した日本の自動車メーカーが、優れた生産技術やハイテクを駆使して意欲的な新型車を続々と市場に送り出していたのがこの時代である。その華やかな時代の象徴が、1989年に登場したトヨタの初代「セルシオ」、日産のR32型「スカイライン GT-R」、マツダ「ユーノス・ロードスター」の3台。それぞれのカテゴリーで世界の自動車メーカーに影響を与えた紛うことなき名車である。私が普通自動車免許を取得したのは1990年代半ばだが、当時はこの時代の日本車の中古が安価で流通しており、中古車市場もじつにバラエティに富んでいた。スポーツカーやオープンカー、2ドアクーペなど、本来は高価でマニアックであるはずの“遊びグルマ”が大衆向けにも多数ラインアップされていたことも今の日本車にはない面白さだった。

1989年に登場したマツダの「ユーノス・ロードスター」。軽量コンパクトで安価なオープン2シーターは、当時すでに失われて久しかった英国発祥のライトウエイトスポーツカーの原点に回帰したものだった。世界中でヒットし、後にメルセデス・ベンツやBMW、フィアットなどからも同様のコンセプトのモデルが登場することになった。マツダは2017年12月からこの初代ロードスターのレストアサービスの受注を開始。依頼のあった車両をメーカー自らが新車時に近いコンディションに復元するほか、ビニール生地のソフトトップ(幌)や、当時と同じトレッドパターンを再現したブリヂストン製タイヤ「SF325(185/60R14)」、NARDI製のウッドステアリング、シフトノブなど、生産が終了していた純正部品の再供給も行う。ただし費用はそれなりにかかる。ボディの全塗装や復刻ソフトトップへの張り替えなど、エクステリア関連の基本メニューだけでも当時の新車価格以上の予算が必要だ(写真提供:マツダ)
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