あの「THE」も高級ダウン市場に参入

 そんななか、新たに高級ダウン市場に参入したのが、洗剤やキッチンペーパー、Tシャツなど、カテゴリーを問わず“定番品”を作っている「THE(ザ)」ブランドだ。南極観測隊のためのウエアを長年作っている国内ダウンウエア専門企業「ザンター」と組み、黒一色のシンプルな「THE MONSTER SPEC(ザ モンスタースペック) DOWN JACKET」を発売。男女兼用で1型のみ展開する。「アウトドアやスポーツ用品など、スペックが高ければ高いほど良いというジャンルもある。最高級のダウンをどうやって作ったらいいかと考えたとき、『国産』という結論にたどり着いた」と、同社の米津雄介社長は話す。

「THE MONSTER SPEC(ザ モンスタースペック) DOWN JACKET」(税別13万円)。サイズはSからXLまで。生地は15デニールという薄さながら、軽くて強度が高いものを使用。街中で着ることを意識してシャツやジャケットの裾がはみ出さないような丈の長さにしている。羽毛の洗浄から生地の開発、仕上げまで一貫して国内生産しているため、修理も受け付けられるとのこと
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 面白いのは、街中で着ることを前提にしている点だ。「『いかにもアウトドア』というデザインの商品は街中では浮いてしまう。軽くて動きやすく、街中でもアウトドアでも使えるデザインを目指した」(米津社長)。さらに「都会のコンクリートの地面は冷えやすく、風が強い日はとても寒く感じる。暖かさという意味ではアウトドアと街中を分けて考える必要はない」とも説明する。

 ここ数年、スニーカーやスウェットなどスポーツウエアを取り入れたファッションが一般的になり、通勤時にダウンジャケットを着る人も珍しくなくなった。用途によってアウターを何枚もそろえるより、「高くても良いもの買って、長く着る」という人も増えているのだろう。都市部でハイスペックなダウンを着るというのは、もはや定番化しているといえそうだ。

(文/樋口可奈子)