4K/8K映像のネット配信が苦境に追い打ち

 総務省は有識者会議でわざわざ同問題を取り上げたこともあり、PPPoE方式とIPoE方式のどちらについても一定の緩和措置を期待できそう。ただ、NTT東西に一方的にコスト負担を押し付けるわけにもいかず、抜本的な対策とはなりそうもない。

 改めてプロバイダーの置かれた状況を整理すると、今後もトラフィック増加でますます厳しくなっていくのは明らか。これまではユーザー数の増加による収益拡大で設備増強をまかなってきたが、いまや昔の話である。最近ではモバイルへのシフトなどでユーザー数の減少も目立ち、設備低廉化(NGNに接続する光回線を含む)による恩恵もあまり期待できなくなってきた。

 かたやトラフィックは容赦なく増え続けている。総務省によると、2017年5月時点におけるブロードバンド契約者の総トラフィック(下り)は前年同月比39.0%増。1年前は同50.0%増、2年前は同58.4%増だった。

ブロードバンド契約者の総トラフィックの推移(出所:総務省)
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 米グーグルの「YouTube」をはじめとした動画配信サービスをテレビ感覚で垂れ流しにするユーザーが増え、中小のプロバイダーでは「毎月のWindows更新プログラムの配信日になると、決まって遅いとのクレームが来る」(関係者)ような有り様という。

 ただでさえ厳しいにもかかわらず、今後は4Kや8Kの映像配信でさらにトラフィックが跳ね上がる。NHKや民放がテレビ番組のネット配信を本格的に始めようものなら確実に耐えられないとされる。総務省の有識者会議では、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)が「2020年に東京オリンピックが始まっても地方(の中小プロバイダー経由)でまともに視聴できない」(立石聡明副会長兼専務理事)と訴える場面もあった。

 大手プロバイダーも例外ではない。ユーザー数の規模が大きいゆえにトラフィック増加の影響が「中小以上に深刻に出る可能性がある」(同)。