もっとも、全てのユーザーが常に通信するわけではない。統計多重効果を見込めるため、さすがに100kビット/秒まで低下することはないが、「遅くて使いものにならない」といった声が出るのも当然である。業界事情に詳しいユーザーを中心にPPPoE方式のサービスをやめ、IPoE方式に乗り換える動きも進んでいる。

 NTT東西がこうした増設基準を設けた理由はコスト負担の増大を抑えるため。PPPoE方式の網終端装置のコスト負担は、NTT東西の約9割に対し、プロバイダーは約1割である。プロバイダーの要望に応じて増設すると、NTT東西の負担ばかりが雪だるま式に増えていくので「たまらない」(幹部)というわけだ。プロバイダーがコスト負担を増やすのであれば見直しも構わないとする。

PPPoE方式とIPoE方式の設備の違い(出所:総務省(NTT東西の提出資料))
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 実際、NTT東西は自らのコスト負担を抑え、増設基準を緩和したメニューを提供済み。コスト負担をNTT東西が約6割、プロバイダーが約4割としたメニューでは、増設基準をセッション当たりの帯域で500kビット/秒に緩和した。プロバイダーの全額負担を条件に網終端装置を自由に増設できるメニューも用意する。

 プロバイダーは依然として増設基準の引き下げ、または増設基準を「トラフィック」に変えることを要望しているが、結局はコスト負担が争点。NTT東西はコスト負担の増加につながる見直しには断固反対の姿勢を示している。

 一方、プロバイダーにとっては、増設基準のないIPoE方式を採用する選択肢もある。しかし、IPoE方式は接続事業者が16社に限られ、そもそものコスト負担がPPPoE方式に比べて高い。中小のプロバイダーには大きなハードルとなっている。