今、女性に人気のスマートフォン向けゲーム『囚われのパルマ』。基本プレーは無料のゲームが多い中、エピソードごとに360円がかかる課金制を取りながら、ヒットを飛ばしている。人気は関連グッズやカラオケ店とのコラボにも飛び火した。その人気の秘密は何なのか? 従来の女性向けスマホゲームと何を変えたのか。「ここまでしゃべったことはない」と開発者が苦笑いするほど、細かく聞いてきた。

 最近、女性たちの間で密かに話題のゲームがある。2016年8月に公開されたカプコンの女性向けスマートフォンゲーム『囚われのパルマ』だ。「女性向けの恋愛ゲームには興味ない」という女性も「これはちょっと違う」とハマっている様子。Google Playのレビューにも、「控えめにいっても最高」「終盤泣きっぱなし」など、ほかのゲームとは熱量が違う熱いコメントが並んでいる。

 しかも、囚われのパルマはエピソード課金制だ。昨今のゲームには、基本、無料でプレーできるFree to Playやアイテム課金、ガチャ課金が多い中、1エピソード360円、クリアするには全6エピソード分の2160円がかかる。ダウンロード数は公表していないが、カプコンによると「予想以上の反響」。2016年10月に開催された2017年3月期第2四半期決算説明会では、同社の辻本春弘社長がモバイル分野の戦略的タイトルとして定番の「モンスターハンター」シリーズと並べて言及し、「女性に非常に好評。新たなIP(知的財産)として、さらに注力して浸透と売り上げ向上を目指す」とした。

 既にその人気はゲームの外にも飛び火し、キャラクターをイメージした香水やキャラクターをあしらったモバイルバッテリーやスマホケースなどの関連グッズが発売されたり、カラオケ店の「カラオケパセラ」では期間限定でコラボメニューが投入されたりするまでになっている。

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『囚われのパルマ』は、8月のアプリリリースと共に配信された「ハルト編」と10月に追加された「アオイ」編がある

ストーリーは結構突飛

 囚われのパルマの設定はやや突飛だ。ハルト編の場合、プレーヤーのミッションは、ある事件に関わって孤島の収容所に閉じ込められている記憶喪失の青年ハルトの記憶を取り戻すこと。ミステリー仕立てである。ただし、彼に会って直接話ができるのは、時折許される面会だけ。それ以外は、監視カメラを通じて収容所にいる彼の行動を「監視」したり、LINE風のツールでメッセージをやりとりしたりして、彼とコミュニケーションを取る。彼の部屋に日用品や食事を差し入れることも可能だ。

 「事件」「孤島」「記憶喪失」「監視」といった言葉を見て、「浮き世離れした、妄想全開ゲーム」と思う人もいるかもしれない。だが、取材してみると、ゲームならではの妄想にリアリティーを与える緻密な設定、女性ユーザーの心をつかみ続けるさまざまな仕掛けがあった。キーワードは、「時間を掛けてコミュニケーションを深める喜び」である。