アミューズメント施設などを中心に、徐々に体験できるスペースが増えてきたVR(仮想現実)やAR(拡張現実)。エンターテインメントだけでなく、ビジネスの場でも、商品の紹介や体験などを中心に活用が進んでいる。

 例えば、東京モーターショー2017の会場では、数多くのブースでVR、ARを活用したコンテンツが用意され、もはや当たり前の光景となっていた。主催者展示からして、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのPlayStation VR(PS VR)を30台接続した大がかりな仕掛けを投入してきたくらいだ。もちろん、VRやAR技術を使ってない、従来からあるシミュレータの類いも数多く見られた。すべてを含めると、全会場で30種類近くの体験型コンテンツが出展されていたのではないだろうか。

 言うまでもないことだが、VRやARといった技術を使えば、「現実には存在しないもの」を表現することが可能になる。モーターショーで耳目を集めたコンセプトカーはその最たるもので、モックアップを展示するだけでなく、VR技術を使えばその車内風景や走りまで“体感”できる。

 では、具体的にどのようにVRやARが使われていたのだろうか。モーターショーの展示を振り返ってみよう。

PS VRを30台接続してコネクテッドカーの利便性を体験

 東京モーターショーのVR技術を用いたコンテンツで最も規模が大きかったのは、前述のように、主催者展示の「THE MAZE」だった。PS VRを30人が装着し、ゴールを目指して未来都市を走り回る、という内容だ。

 各自が操縦するクルマは、すれ違うごとにそれぞれが走行して得たデータを交換し合う。そのたびに、自車が搭載しているコースの地図は情報量を増し、ゴールへの道筋が見つけやすくなる。ネットワークにつながるクルマ「コネクテッドカー」で実現する、未来のクルマ社会の利便性をゲームを通じて体験できるようになっていたわけだ。

 ゲームとしては単純だが、幅広い年齢層の来場者に広く対応し、なおかつ「テーマをきちんと理解してもらう」という目的を考えると、これくらいシンプルな内容が落としどころとして正解なのだろう。

 まだまだ普及の途上にあるPSVR VRを体験できるという意味でもなかなかキャッチーで、ドーム型スクリーンでクルマ社会の未来を提示する「THE FUTURE」とともに、今年の主催者展示はそのスケールの大きさが際立っていた。

東京モーターショー2017主催者展示の「THE MAZE」。30人の参加者が同時にPlayStation VRを装着しているその光景は壮観
[画像のクリックで拡大表示]
参加者の前方に置かれたカメラで顔の向きを検出していることもあって、1人あたりのスペースはゆったり。もっとも、参加者の視界に広がる世界はさらに広大なのだが
[画像のクリックで拡大表示]
参加者が乗るのは、視線の向きで進みたい方向を指示するだけの、半自動運転のクルマ。他車とすれ違って地図情報をアップデートさせつつ、中央のタワーを目指して未来都市を走る
[画像のクリックで拡大表示]