工場のラインもラズパイで最適化

 技術的なレベルの高さを評価する「技術賞」には、三宅泰宏さんの「製造現場のカイゼン支援ツール『マルチストップウォッチ』」、株式会社オフィスサービス開発部の「ラズパイで実現したCTIシステム(オリジナルUPS付き)」、工学院大学 鈴木将さんの「手のひらサイズ自動運転車」の三つが選ばれた。

 「マルチストップウォッチ」は、セル生産方式の製造現場で作業員一人ひとりのサイクルタイムを計測するために開発された(図2)。作業員が製品を1台完成するごとに無線スイッチ送信機(FA用)のボタンを押すことで、作業員ごとのサイクルタイムを自動計測する。計測したサイクルタイムはラズパイに接続した液晶ディスプレイに表示する。

図2 技術賞の「製造現場のカイゼン支援ツール『マルチストップウォッチ』」実際の現場で、2年間安定稼働している。
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 評価のポイントとなったのは、IT機器の信頼性が求められる製造現場でも、安価なラズパイを活用できるように工夫していることだ。例えば、産業用機器では一般的な24Vの入出力信号を、3.3V系のラズパイとやり取りできるようにした。フォトカプラを使用して信号レベルの変換と電気的な絶縁を実現している。

 二つ目のCTIシステムでも、安価なラズパイを業務の現場で活用するための工夫が評価された(図3)。ラズパイにはCTIサーバーの機能が組み込んである。着信した電話番号にひもづいた発信者情報をデータベースで検索し、該当する発信者情報をパソコンのアプリに表示する。

図3 技術賞の「ラズパイで実現したCTIシステム(オリジナルUPS付き)」
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 主にコールセンターなどで利用されるシステムだが、電話システムと直結するため停電時の正常終了が求められる。そこで同社は、最大40秒のバックアップ時間を確保できるUPSユニットを、安価な部品で独自に開発した。