YouTubeは視聴者数の桁が2つ多い

 圧倒的な利用者数を武器に、ゲーム動画市場を攻めるのがグーグルの「YouTube」だ。「ゲーム動画を配信した際、YouTubeの視聴者数はゲームに特化した動画配信サービスと比べて桁が2つ多かった」(関係者)。ゲーム特化の動画サイトの成長が著しいとはいえ、YouTubeには一日の長がある。

 そのグーグルもゲーム動画市場に大きな可能性を感じており、動画クリエーターが利用しやすい環境を整えるべく、リアルタイム動画配信サービス「YouTube Live」の機能やサービスの拡充を急ぐ。「毎日YouTube Liveを利用するチャンネルは、昨年と比べてグローバルで4倍になっている。これはゲーム動画の配信の盛り上がりとも密接である」(グーグルAPACゲーミングコンテンツ&パートナーシップ代表のイネス・チャ氏)ことが大きな理由の1つ。

 例えば、2月にはモバイル端末からボタン1つで、リアルタイム動画を配信できる機能を追加して、より手軽に利用できるようにした。また、視聴者がクリエーターに寄付をすることで、動画に投稿した自身のコメントを目立たせることができる機能の提供も始めた。9月7日に新たに追加したのが、「超低遅延」で配信できる設定だ。これは、動画の配信元と視聴者間で発生していた遅延を減らして、よりリアルタイムなコミュニケーションを可能にする設定だ。「ゲーム動画のクリエーターにとっても配信しやすい環境を整えている」(チャ氏)。

 また、他社の提供するスマホ向けゲームアプリから直接、YouTube Liveにリアルタイム動画を配信できる機能も新たに追加した。グーグルは、開発者がゲームのプレー動画を録画できる機能をアプリに追加できる「ReplayKit」を以前から提供していた。以前は録画のみに対応していたが、このReplayKitを追加したアプリであればリアルタイム動画を直接YouTube Liveに配信できるようになった。

 このようにカメラなどの配信環境を整えなくても、いつでも好きなときにゲームのプレー動画を配信できる仕組みを、広くさまざまな開発者に提供することで、新たな動画配信者の拡大を狙いながら、視聴者向けにもゲーム動画を見やすい環境を提供する。

 昨年、グーグルはゲーム動画に特化したサービス「YouTube Gaming」の日本展開にも乗り出した。YouTube上からゲームに関する動画だけを抜き出して、別サイトとして展開したものだ。サイトのデザインも既存のYouTubeとは異なり、ゲーム利用者が好む黒をベースにしたデザインを採用した。YouTube Live機能も利用できる。

 海外ではウェブサイトだけではなく、スマホアプリ版も提供する。「アプリ版の日本展開はまだ未定だが、各国で順次展開中」(チェ氏)のため、将来的に日本で提供される可能性も高いだろう。グーグルが特定の切り口で独立したサイトを開発するのは、YouTube Gamingを含め3つだけだ。グーグルがゲーム動画にかける本気度がうかがえる。

グーグルは、ゲーム動画に特化した「YouTube Gaming」の日本展開を始めた
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 これらの先行する企業がしのぎを削る中、ゲームに特化した動画配信サービスの大手「Twitch(トゥイッチ)」を展開する米トゥイッチが日本に本格参入した。次回はトゥイッチの日本戦略を紹介する。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)